都市部を中心に、いたるところで見かけるようになったカーシェアリングサービス。買い物や送迎など、ちょっとしたシーンで短時間の利用ができるため、最近はさまざまな目的で利用する人が増えています。日常生活の中でカーシェアリングを活用するとどんなメリットがあるのか。基本的なしくみから利用方法、そして便利で楽しいユニークな使いかたなどを紹介します。
一度使うとカンタン便利で手放せない!
カーシェアは便利そうで興味があるけど、どう使っていいか分からない。そんなイメージを抱いている人は少なくないはず。でも、カーシェアリングサービスの便利さを一度知ってしまうと、もうカーシェアリングなしの生活には戻れなくなってしまうかも。携帯電話をガラケーからスマートフォンに変えたときのように、生活がより便利で楽しくなる存在なのです。
まずは、実例として「タイムズカープラス」の利用方法を見てみましょう。
利用の手順
1.予約はインターネットで
会員登録が済んでいれば、パソコン、携帯電話、スマートフォンから、利用したいエリアのステーションや空き状況を検索。車両と料金プラン、利用したい日時を入力するだけで予約できます。
2.ドアロックは会員カードで解錠
利用開始時間になったら、ステーションにある予約車両に会員カードをかざせばドアが解錠。返却するときも、会員カードをかざすことでドアを施錠します。
3.スタンド看板を移動
クルマに乗り込む前に、駐車スペースに置かれているスタンド看板を移動します。
4.車に乗り込み鍵を取り出す
クルマのキーは助手席前のグローブボックスの中にあります。キーを返却位置から貸出位置にまわして、キーを取り出します。
5.あとは普通のクルマと同じようにエンジンスタート
「タイムズカープラス」の場合、予約時にweb上でカーナビの目的地を設定しておけば、エンジンをかけるだけでナビが案内を開始。貴重な時間を節約できます。空きスペースにタイムズカープラス以外のクルマが駐車しないように、出発時には移動したスタンド看板を元の場所に戻すことも忘れずに。
レンタカーとはここが違う! カーシェアのメリットとは?
カーシェアリングサービスのメリットを知るには、プロに聞くのが一番! ということで、業界最大手「タイムズカープラス」を運営する、パーク24株式会社 広報担当の小沼俊彦さんを訪ねました。
「タイムズカープラス」は、カーシェアリングのステーション数約1万件、車両台数約2万台、会員数約88万人を数える、カーシェアリング業界最大手。圧倒的なシェアを持っている理由は、全国約1万7000カ所で展開する時間貸駐車場「タイムズ」を活用しステーションを設置しているため。業界では唯一すべての都道府県でカーシェアリングサービスを提供するなど、使いやすさにおいて圧倒的な存在感を放っています。そこで「タイムズカープラス」を例に、まずはレンタカーとの違いについて聞いてみました。
24時間・365日、短時間から借りられる
「カーシェアリングは短時間からご利用いただけます。レンタカーの場合、貸出時間は6時間からが一般的ですが、『タイムズカープラス』では15分206円からお使いいただけます。そして最大のメリットは、24時間・365日ご利用いただけることです」
レンタカーは夜間営業していない場合があり、24時間営業の店舗でも、深夜から早朝の貸出・返却には割増料金が発生します。その点、カーシェアリングは無人で貸出・返却が可能なため利用手続きが簡単です。借りたいときにいつでも利用できる手軽さがあります。
料金にシーズンによる変動がない
さらにレンタカーには、夏休みやGW、年末年始などはハイシーズン料金が設定される場合があるのに対して、カーシェアリングはシーズンによる変動がありません。燃料代や保険も利用料金に含まれているため、数人で利用する際の割り勘計算も楽です。
「予約についてはwebで空き状況などを確認できますし、予約から最短3分後にはお使いいただけます。しかも、予約した時間分ではなく、実際に使った分しか課金されません。レンタカーでは予約時刻より早く返却しても返金されませんが、『タイムズカープラス』では使った分しか課金されないため時間に余裕を持ったご予約が可能です。また、急な予定変更の際には、利用開始時刻前にキャンセルすればキャンセル料は不要です。手軽で無駄のない料金システムも、大きなメリットのひとつです」
料金は、「タイムズカープラス」の個人会員の場合、月額基本料1030円。この料金には1030円の無料利用分が含まれているため、月に1時間強利用する場合は実質的に無料といえます。そして利用料金は15分206円~。6時間パックを除く長時間のパックメニューのみ、パック料金に距離料金(16円/km)がかかります。
およそ10時間以内の利用ならカーシェアが得!
カーシェアとレンタカー、どちらがお得なの? という疑問を持たれる方が多いようですが、車種や走行距離、燃費、利用シーンにより異なるため一概にはいえないものの、だいたい10時間以内の利用ではカーシェアリング、10時間以上ではレンタカーとなるようです。どちらを借りるか迷ったときには、利用時間や車種で比べてみるといいでしょう。
カーシェアリングの賢い使い方
気分転換にトラブル時の代車に、と気軽に利用
クルマを短時間から手軽に利用できるカーシェアリング。その利用シーンは人それぞれです。例えば小さな子どもがいる家庭では、雨の日の子どもの送り迎えとしてマイカー感覚で利用しているママが少なくありません。いろいろなクルマに乗れるため、雨の日を楽しみにしている子どももいるとか。
夫婦喧嘩の後に頭を冷やすため、カーシェアリングを利用するというユーザーもいるそう。ドライブをしながらあらためて思い直してみると、実はつまらない原因だったりすることが多いもの。ひとまわりドライブすることで気分転換になり、仲直りのきっかけになるというアンケートで寄せられています。
また、突発的なトラブルの際も、カーシェアリングが役に立ちます。
例えば外出先で自転車がパンクしたような場合は、カーシェアリングで最寄りのステーションから自転車を運ぶことができます。また、終電がなくなってしまった場合にも、カーシェアリングを利用して帰宅することができます。タクシーやホテルを利用するよりはるかに安いので、覚えておくと便利でしょう。あと、出勤時などに台風や事故などで鉄道が止まってしまい、バスやタクシーへの乗り換えで苦労した経験のある人は少なくないはず。そんな場合はカーシェアリングでクルマを借りて出勤する選択肢も。カーシェアリングサービスに契約していれば、突発的な緊急事態にもフレキシブルに移動できるため、いざというときにも安心です。
まとめ買いもカーシェアならラクラク快適
大きなお買い物をする予定がある場合は、バスや電車ではなく、カーシェアリングを使ったほうがオススメ。例えば、コストコで友人たちと食料品などをまとめ買いするような使いかたにも最適です。食品とクルマ代をみんなでシェアすれば、これまで以上にお得で快適なショッピングが楽しめます。
今回お話を聞いた「タイムズカープラス」では、イケア、イオンなどの大型商業施設にもステーションを設置しているとのこと。思わぬ大物買いをした場合には、現地でカーシェアを利用して運搬することもできます。
到着駅や空港で借りれば行動範囲がぐんと広がる
「タイムズカープラス」では、駅や空港などへの車両配備を積極的に行っているため、他の交通手段とカーシェアリングを組み合わせて移動することで、移動がより便利になります。
例えば出張先が駅や空港から離れていて、しかもバスなどの本数も少ない場合、これまではタクシーで往復するか、クルマで長距離運転をする必要がありました。でも、カーシェアリングサービスに契約していれば、最寄りの駅や空港までは電車や飛行機を利用し、そこからクルマで移動することができます。この方法を応用すれば、駅から遠い場所にあってこれまで行けなかった、出張先のおいしいお店などにも気軽に行けるようになります。行動範囲が広がるため、これまであきらめていた楽しみが実現する機会が増えるでしょう。
もちろん女子旅にもカーシェアリングが役に立ちます。事前に目的地近くのカーシェアリングを予約すれば、旅のバリエーションが一気に拡大。到着が遅れるような際も移動中簡単に変更やキャンセルができるため、気ままな旅を楽しめます。
旅先でのユニークな使いかたとしては、コインロッカーに入らない大型のスーツケースなどをカーシェアリングのクルマに積み込み、コインロッカー代わりに使う人もいるのだとか。
そんな自由な使いかたができるカーシェアリングサービスは、生活や旅のバリエーションを広げてくれる、便利な存在になることは間違いないでしょう。
タイムズカープラス
https://plus.timescar.jp/
取材・文=北沢剛司(メディア・エボリューション) 撮影=三木匡宏 モデル=大隅聡子 構成=n.プロジェクト