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大作から社会派ミステリー、恋がしたくなるキュンキュン系まで2017年夏の「ヒット映画予備軍」事前勉強会

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夏が来ますね。待ち遠しかったような、あの暑さを想像してうんざりもするような、複雑な気持ち。
でもここはポジティブに行きましょう! 海や山で季節を満喫するもよし、都会で涼しく過ごすもよし。
屋内で涼しく夏を過ごすには、映画館がぴったりですよね。というわけで、映画コメンテーターの有村昆さんに、この夏、ヒットするであろうオススメ映画を6本、ピックアップしていただきました!

 

 

とにかくダイナミック!
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』

孤高の海賊ジャック・スパロウの過去を知る最恐の敵、“海の死神”サラザールが解き放たれた時、海賊全滅へのカウントダウンは始まった。ジャックVS海の死神の決戦の行方は? <最後の冒険>がついに幕を開ける!
孤高の海賊ジャック・スパロウの過去を知る最恐の敵、“海の死神”サラザールが解き放たれた時、海賊全滅へのカウントダウンは始まった。ジャックVS海の死神の決戦の行方は? <最後の冒険>がついに幕を開ける!

 

ディズニーが本腰入れてやってるな、と感じた大作です。台本が完璧でした。ハビエル・バルデム、ジェフリー・ラッシュというアカデミー俳優を2人添えていること、そして、今まで出てこなかったキーラ・ナイトレイとオーランド・ブルームも復活しました。完璧な布陣で、「これでコケたらしょうがないよね」という作品です。若き日のジャック・スパロウも登場します。前作、前前作を観ていなくても大丈夫、これが初めてでも楽しめます。でもキーラ・ナイトレイとオーランド・ブルームの子どもたちの話なので、できれば、パート1だけは観ておいた方がいいかもしれません。またディズニーもいろいろ仕掛けをしていて、MX4Dという座席が揺れたり水がかかったりするなどの臨場感溢れる劇場があるのですが、そこで上映をしたり、フィルムオーケストラといって、生のオーケストラで映画を観る上映があるのですが、パート1を東京国際フォーラムで開催する予定です。プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは、世界で一番お金を持ってくるのが上手い人なので、これだけお金がかかっている作品を1800円で見られるのは、とてもお買い得ですね。間違いなく、今年の夏の大本命です。(有村昆さん)

 

こんな人と観るのがお勧め!:カップル、親子

『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
(PIRATES OF THE CARIBBEAN:DEAD MEN TELL NO TALES)
監督/ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベ
製作/ジェリー・ブラッカイマー
出演/ジョニー・デップ、ハビエル・バルデム、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ、ブレントン・スウェイツ、カヤ・スコデラリオ
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト/Disney.jp/Pirates
※ 7月1日(土)より全国ロードショー

© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

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なるほど、考えさせられる
『ファウンダー』

世界最強のハンバーガー帝国の創業者(ファウンダー)。彼はどのようにして10億ドル規模の巨大企業を築き上げていったのか? 誰もが知っているマクドナルドの、誰も知らない誕生のウラが暴かれる!
世界最強のハンバーガー帝国の創業者(ファウンダー)。彼はどのようにして10億ドル規模の巨大企業を築き上げていったのか? 誰もが知っているマクドナルドの、誰も知らない誕生のウラが暴かれる!

 

マクドナルドは、誰もが一度は行ったことがあると思います。日本で言えばひと駅に1つ、アメリカでは「町には必ず、役場、教会、マクドナルドがある」と言われているくらいです。ではマクドナルドがなぜここまで成功したのか。映画は、1950年代のアメリカが舞台です。当時はまだチェーン店という考え方のない時代でした。町のドライブイン、ダイナーといった、それぞれ独立した店しかなかったんです。しかしマクドナルドは、注文してから30秒で出てくる。ピクルスを置く人、レタスを置く人といったように完全に流れ作業でやって、お皿もフォークも出さずに、紙で包んであって、立ち食いして、食べ終わったら紙を丸めて捨てるだけという世界で初めてシステムとしてやったのがマクドナルドなんです。低コストで、メニューもハンバーガーとコーラとポテトだけで余計なものは置かない。それが大成功したんです。それに感動したクロックという人が、チェーン化を提案するのですが、彼がどんどん暴走していくんです。そのため訴訟を起こされまくってるんですが、マクドナルドってそんな歴史があったのか、と思いました。すごいのは、これはマクドナルドの許可を取ってないことです。大変な問題作ですね。

 

こんな人と観るのがお勧め!:ひとり、キャリアを積みたい・独立したい人

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
(The Founder)
監督/ジョン・リー・ハンコック
出演/マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、ローラ・ダーン、パトリック・ウィルソン、B・J・ノヴァク、リンダ・カーデリーニ
配給/KADOKAWA
公式サイト/http://thefounder.jp/
※ 7月29日(土)、角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿、渋谷シネパレスほか全国公開

©2016 Speedee Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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性をアカデミックに捉える
『エル』

自宅で覆面の男に襲われたミシェル 元夫、恋人、部下、隣人―─全てが疑わしい犯人探し。次第に明かされていくのは、事件の真相よりも恐ろしい彼女の本性だった──
自宅で覆面の男に襲われたミシェル 元夫、恋人、部下、隣人―─全てが疑わしい犯人探し。次第に明かされていくのは、事件の真相よりも恐ろしい彼女の本性だった──

 

ゲーム会社をやっている女社長が自宅でレイプされてしまいます。でも何事もなかったかのように普通の顔をしているんです。そして警察にも通報しない。なぜなのか、観ている方にはわかりません。女性が、性によって辱められること、なのに声を上げることの難しさを語る映画です。被害を公表することで辱められることをセカンドレイプと言いますが、そうしたことや、加害者から「おまえの被害が公になるんだぞ」と脅されることなど、根本に流れるテーマは重く、解決できていない事柄です。ぜひ、大人の女性に観て欲しいですね。ストーリーとしては、なぜ主人公は訴えないのか、犯人は誰なのかがポイントで、そこに大きな秘密があり、ラストはとんでもない展開になります。主役のイザベル・ユペールは、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされましたが、彼女の演技が圧巻でした。レイプをされて平然とした顔でいる、そのたたずまいに狂気を感じます。監督のポール・ヴァーホーペンは、『ロボコップ』や『氷の微笑』を手がけた人ですが、エログロの得意な人です。性癖の話にもなるので、ある程度恋愛経験があって、大人の分別があると、すごく楽しめると思います。

 

こんな人と観るのがお勧め!:同性の友達

『エル』
(ELLE)
監督/ポール・ヴァーホーヴェン
出演/イザベル・ユペール、ローラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、シャルル・ベルリング、ヴィルジニー・エフィラ、ジョナ・ブロケ
配給/ギャガ
公式サイト/http://gaga.ne.jp/elle
※ 2017年8月、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー

©2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

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ひたすらキュンキュン!
『結婚』

ディーン・フジオカが、女性の夢を破り、それでも愛される〈結婚詐欺師〉に挑戦!「結婚」という魔物に騙された女たちと、騙した男にうごめく秘密と哀しみ―。彼らが持つ孤独と欲望の行き着く先とは!?
ディーン・フジオカが、女性の夢を破り、それでも愛される〈結婚詐欺師〉に挑戦!「結婚」という魔物に騙された女たちと、騙した男にうごめく秘密と哀しみ―。彼らが持つ孤独と欲望の行き着く先とは!?

 

これまで清純派で売ってきたディーン・フジオカさんが、結婚詐欺師に扮しています。女性を騙して指輪を渡し「結婚しよう」と言った瞬間が最後の言葉、女性にお金を払わせた瞬間に、連絡が取れなくなります。だけどこの男には奥さんがいて、結婚生活を送ってるんです。そして彼女は、夫が詐欺師だということを知りません。途中でひとりの女性が彼の詐欺に気がついて「警察に突き出すか、パートナーになるか」を迫ります。そうして相棒を得て次々とほかの女性を引っかけていると、萬田久子さんがドーンと出てきて「いったい何者なの?」となる。最終的には、驚愕の真実が語られます。ディーンさんが出てるだけで雰囲気があるのでアートっぽくなりますよね。出演している女性陣は、あえてメジャーな人を使っていないので、女性に感情移入させるようにできているんですね。「ああ、ディーンさんとキスしたらこんな感じ」「抱かれたらこんな感じ」「ディーンさまの背中が美しい」、なんなら、一部分切り取ったらプロモーションビデオなんじゃないかという感じです。ひたすら女性を接待しまくるという、ディーンさまの魅力満載です。

 

こんな人と観るのがお勧め!:カップル、同性の友達

『結婚』
監督/西谷真一
出演/ディーン・フジオカ、柊子、中村映里子、松本若菜、安藤玉恵、古舘寛治、萬田久子、貫地谷しほり
配給/KADOKAWA
公式サイト/kekkon-movie.jp
※ 2017年6月24日公開

©2017「結婚」製作委員会

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大人の悲哀
『カーズ/クロスロード』

天才レーサー“マックィーン”を待ち受けていたのは、新たなハイテク世代の台頭と、レース人生を揺るがす大クラッシュだった。“人生の岐路(クロスロード)”を描いた本作。挫折を味わったとき、ひとはどう立ち向かうべきかが描かれる
天才レーサー“マックィーン”を待ち受けていたのは、新たなハイテク世代の台頭と、レース人生を揺るがす大クラッシュだった。“人生の岐路(クロスロード)”を描いた本作。挫折を味わったとき、ひとはどう立ち向かうべきかが描かれる

 

カーズは「もし車の世界が存在したら」というお話です。シリーズはこれで3作目ですが、今までは、主人公のマックィーンが仲間たちと一緒にレースに出て優勝する、世界中の車たちとレースをするといったサクセスストーリーで、子ども向けのお話でした。しかし今回は冒頭で大クラッシュシーンがあるんです。王者だったマックィーンが、ボロボロの状態で修理されるところから始まります。「追う側から追われる側へ」というのが大きなテーマで、挫折から再生していくというお話です。アメリカ映画の素晴らしいところは、こうした続編が出るナンバリングタイトルの作品で、作品を経るごとにキャラクターが年を取ることです。「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」もそうですし「ハリー・ポッター」でも、キャラクターたちがどんどん大きくなっていって、観ている側は「ああこんなに大きくなって」「やっと恋愛したか」なんて、もう親戚のおじさん気分になります。一方で「カーズ/クロスロード」は、主役に自分を置き換えて観る映画です。新しい機種が出てきたりして、自分の立場が危なくなる。会社や学校、部活に有能な後輩が入ってきて危機感を感じるといった経験ってありますよね。クロスロードというタイトル通り人生の話に通じる物語で、完全に大人向けで、大ヒット間違いなしの作品です。

 

こんな人と観るのがお勧め!:カップル、夫婦、仲のいい友達

『カーズ/クロスロード』
監督/ブライアン・フィー
製作/ケヴィン・レハー
製作総指揮/ジョン・ラセター
日本版キャスト/土田大/ライトニング・マックィーン、松岡茉優/クルーズ・ラミレス、藤森慎吾/ジャクソン・ストーム、山口智充/メーター他
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト/http://www.disney.co.jp/movie/cars-crossroad.html
※ 7月15日(土) 公開

© 2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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ぶっ飛びコメディ
『ボン・ボヤージュ』

ピッカピカの新車でバカンスへ。しかし出発直後、ブレーキが制御不能に…。絶体絶命の“密室”で明かされる“秘密”に家族は崩壊寸前!!
ピッカピカの新車でバカンスへ。しかし出発直後、ブレーキが制御不能に…。絶体絶命の“密室”で明かされる“秘密”に家族は崩壊寸前!!

 

『新幹線大爆発』や『スピード』という映画のように、「何キロ以下になると爆発しちゃう」シリーズは昔からあるジャンルですが、これもそう。とある家族が電子制御された新しい車で出かけるんです。するとブレーキが利かなくなり、160km以下に減速しなくなり暴走します。高速に乗ったら前に渋滞があったり、警察が周囲の車を待避させようとしたり、家族をサンルーフから救出させようとしたりとてんやわんやになります。フランス映画としてはなかなか珍しく、笑いしかない、まったくふざけた映画です。乗り物映画は映画館と相性がいいんですよね。乗ったら最後、終わるまで降りられない。乗り物のシートに乗った感覚になれるんです。これは90分強の短い時間の映画ですが、映画館の椅子が車の助手席に変わりますよ。

 

こんな人と観るのがお勧め!:カップル、友達

『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』
監督/ニコラ・ブナム
出演/ジョゼ・ガルシア、アンドレ・デュソリエ
配給/ギャガ
公式サイト/gaga.ne.jp/bon-voyage/
※ 7月22日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町 他 全国順次ロードショー

©2016 Chic Films – La Petite Reine Production – M6 Films – Wild Bunch

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有村さんが紹介する映画は、どれもこれも面白そうです。ラインナップも、大衆向けから映画好き納得の深い人生ものまで色とりどり。ハリウッド超大作にはあまり興味のない筆者ですが、ぜんぶ見たくなっちゃいました。ぶっちゃけ『パイレーツ・オブ・カリビアン』は3以降見ていないのですが、これは見ようかと思ってます。みなさんは、どの映画が気になりますか? 好きな人を誘ってもいいし、1人でしみじみ感慨にふけってもキュンキュンしてもよさそうです。
夏の「涼」は映画館でいただきましょう!

 

企画・構成=プロデュース・オン・デマンド 取材・文=和久井香菜子 撮影=岩井賢一

 

Profile

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有村 昆

映画コメンテーター

1976年7月2日マレーシア生まれ。
年間500本の映画を鑑賞し、最新作からB級映画まで幅広い見識があり、映画解説で磨かれたプレゼン能力で、TV番組やイベントMCや、司会者、ラジオパーソナリティとしても経験豊富。