部屋でじっくり。女性におすすめのホラー映画5選
「ぼくのエリ 200歳の少女」
母親と暮らす12歳の少年オスカーは、神秘的な魅力を持つ“少女”エリと出会う。その頃、周囲では残忍な殺人事件が発生していた――。孤独な男の子と吸血鬼の女の子の微笑ましい初恋物語……というムードをとりつつ、エリの秘密(吸血鬼であるだけに非ず!)が明らかになるところから、ストーリーの持つ意味あいが変わっていきます。子ども時代特有のイノセンスと残酷が絶妙にブレンドされて、ブロンドのオスカーと黒髪のエリの組みあわせはビジュアル的にも、とってもキュート! ラストシーンでの彼らの選択には胸が締めつけられます。
「箪笥―たんす―」
長期入院から退院し、郊外の一軒家に帰ってきたスミとスヨンの姉妹。継母ウンジュは笑顔で迎え、父のムヒョンを中心に四人での新生活が始まるが――。韓国の古典怪談「薔花紅蓮伝」を現代風にアレンジ。いたいけな姉妹が意地悪な継母に苛められるという、一昔前の少女マンガのようなストーリーラインながら、映像はどこまでもスタイリッシュ。あどけない姉妹、美しすぎる継母、ロマンスグレーの父親と、フォトジェニックな登場人物たちが神経戦のようなやり取りを繰り広げ、やがて崩壊していく姿をおぞましくも耽美的に描いています。
「ジェニファーズ・ボディ」
高校一の美少女ジェニファーと、内気なニーディは親友同士。悪魔に取り憑かれたジェニファーは男子生徒を次々と襲い、ニーディのBFまで毒牙にかけようとする――。学園ホラー映画のスタイルを踏まえた上で、スクールカーストや女子特有のフレネミーな友人関係(フレンズとエネミーを併せた造語)などティーンの生態があまりにリアル、かつ切実。ビッチキャラを通すことで居場所を確立しているジェニファーと、イケてないけど自然体でいようとしているニーディ。かる~いB級ホラーながら、少女たちの内面描写は意外(?)と深いのです。
「リパルジョン/反撥」
姉とふたり暮らしの内気なキャロル。姉の恋人が毎晩現れては愛しあう物音を壁越しに聞かされて、次第に神経がすり減っていく――。巨匠ロマン・ポランスキー監督が、少女の内に潜むセックスへの恐怖と憧れをモノクロームの映像で描くサイコスリラーの傑作! フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが21歳のときに出演し、繊細なヒロインが狂気に呑み込まれていく姿を被虐美たっぷりに熱演します。ウサギの丸焼き、伸び続けるジャガイモの芽、壁に入る亀裂……彼女の視点にカメラも同化して、画面に映る何もかもが不気味になっていくのです。
「フランケンシュタイン」
生命の創造という夢に取り憑かれたフランケンシュタイン博士は、世にも醜いモンスターを作り上げる。その容貌ゆえに迫害されるモンスターは人々を殺めていく――。「ドラキュラ」と並ぶホラーの古典として何度も映画化されてきた「フランケンシュタイン」の記念すべき第1作目。ボリス・カーロフ扮するモンスターの造型は、あまりに有名、あまりに強烈! 顔は怖いけど心は純粋なモンスターが、幼い少女と遊ぶうちにその子を死なせてしまう場面は、今見てもショッキングです。『シザーハンズ』の原型とも言える、切ない系ホラーの原点です。
取材・文=皆川ちか