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変幻自在な日本伝統のファブリック部屋を飾る
「風呂敷」と「手ぬぐい」の意外な使い道

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2月23日は「風呂敷の日」。日本の伝統的な道具として誰もが知る存在である一方、日常的に使う機会は少ないかもしれません。とはいえ、レジ袋が有料化されエコバッグを持ち歩くことが当たり前になった昨今、風呂敷は代わりに使えるエコなアイテムとしても、注目を集めています。

そこで今回は、普段使いはもちろん、インテリアを盛り上げるアイテムにもなる「風呂敷」と、風呂敷同様古くから日本人の暮らしに寄り添ってきた「手ぬぐい」の魅力に迫ります。風呂敷や手ぬぐいを中心に取り扱うショップ「JIKAN STYLE KITTE丸の内店」を訪ね、店長・小寺千春さんに、風呂敷と手ぬぐいの歴史から、生活シーンに寄り添う活用法まで、詳しく教えていただきました。

 

奈良・室町時代から愛される、日本人の生活必需品!
意外と知らない風呂敷・手ぬぐいの話

風呂敷と手ぬぐいの使い方を知る前に、そもそもなぜ「風呂敷」という名前で呼ばれているのか、手ぬぐいはいつ頃から使われていたのかなど、歴史的な背景を小寺さんに伺ってみました。

「諸説ありますが、風呂敷が『風呂敷』という名前で呼ばれるようになったのは、室町時代。名前の通り、お風呂場で使われていたことが由来となっています。お風呂道具を公衆浴場に持って行ったり、他人のものと紛れないように着物を包んでおいたり、さらに、風呂上がりにはその布を足元に敷いて身支度をしていたという文化があったそうです」(小寺千春さん、以下同)

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「手ぬぐいも諸説あるのですが、その起源は奈良時代にさかのぼります。神事の時に装身具として使われていたのが、手ぬぐいの原型なのだとか。江戸時代になると、綿花の栽培が盛んになり、綿織物で仕立てた着物がたくさん作られるようになりました。その仕立ての過程で出た端切れが、『手ぬぐい』として庶民の生活に浸透していったと言われています。当時から手拭きに使ったり、ほこり除けに使ったりと万能だったそうですよ」

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SDGsや防災の観点からも注目を集める、
風呂敷・手ぬぐいの魅力

日本人の日常生活のなかで、便利な道具として活躍してきた風呂敷と手ぬぐい。その魅力は現・令和の時代になってもけっして失われていません。さらに最近では、SDGsや防災の観点からも注目が。そんな風呂敷と手ぬぐいのメリットや、便利な使い方を教えていただきました。

風呂敷の魅力

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・包む物の大きさに捉われない

「かばんは容量が決まっているのに対して、風呂敷は包む物の大きさに捉われることなくさまざまな物を包めるというのが、大きな魅力だと思います。また、お弁当を包むのにぴったりな50cm巾(はば)や、エコバックやインテリアファブリックにも使える大判の105cm巾のものなどサイズも豊富なので、包みたいものに応じて使い分けることができます」

・使い方も自由にアレンジできる

「包むだけでなく、さまざまな用途で使用できるのも魅力のひとつ。包むのはもちろん、ソファやテーブルに敷くなど、インテリアグッズとしても楽しめます。洗う度に生地が柔らかくなってくるので、スカーフとして首に巻いてもかわいいですよ。
また、最近はレジ袋の有料化やSDGsの高まりから、エコバッグとしての活用法が見直されています。洗濯して繰り返し使えるだけでなく、使わないときは小さく畳めてかさばらないので、かばんにひとつ入れておくだけでも便利です」

 

手ぬぐいの魅力

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・緊急時にも活躍する、汎用性の高さ

「手ぬぐいの使い方に決まりはありません。名前の通り、手を拭うハンカチやタオルとして使ってもいいですし、パソコンや姿見鏡のほこり除けとして使ったり、掃除のふきんとして使ったり。さらに、風呂敷と同じくいろんなものを包むこともできます。
また、防災の観点からも注目されています。三角巾としての使用や、ハサミで少し切れ目を入れればすぐに裂くこともできるので、緊急時の包帯として使うことも可能です。日常生活だけでなく、緊急時にも役に立つ汎用性の高さは、手ぬぐいの大きな魅力ですね」

・雑菌が溜まりにくく、衛生的

「手ぬぐいの端が切りっぱなしになっているのにも、きちんと理由があるんです。通常のハンカチなどは、生地がほつれないように端を折り曲げて縫製しているのですが、手ぬぐいはあえて縫製しないことで、生地がフラットな状態になっています。それにより、水はけがよくすぐ乾くので、雑菌が溜まりにくいというメリットがあります。
ほつれて出てきた余分な糸は、はさみで切ってしまいましょう。ある程度のところでほつれが収まるようになっていますので、安心してくださいね」

 

好きな絵柄を選び、視覚的に楽しめる豊富なデザイン

使い道が豊富な風呂敷や手ぬぐいですが、「デザインの豊富さ」も注目のポイントです。今回取材をした「JIKAN STYLE」も、日本の伝統的なモチーフをあしらったものやモダンな幾何学模様、キャラクターのコラボレーション商品など、何百種類ものデザイン商品を取り扱っています。

昨年12月にデビューした新ブランド「kenema+(ケネマプラス)」。より日常生活での使いやすさを追求したシンプルなデザインが魅力。注染手ぬぐいが5種、風呂敷(100cm/50cm)も5種の絵柄がある。
昨年12月にデビューした新ブランド「kenema+(ケネマプラス)」。より日常生活での使いやすさを追求したシンプルなデザインが魅力。注染手ぬぐいが5種、風呂敷(100cm/50cm)も5種の絵柄がある。

「ただ販売するだけでなく、商品から楽しさや感動など、何かを感じ取ってほしいという想いから、オリジナルのデザインを幅広く展開しています。一枚絵のデザインや、日常で使いやすいシンプルなデザインなど、みなさんの好みの一枚がきっと見つかると思います。普段使いもいいですが、飾って視覚的に楽しむことができるのも、風呂敷や手ぬぐいの魅力です」

気(美しい気配)・音(美しい音色)・間(美しい間合い)という意味合いを込めたブランド「kenema」は、一枚絵としても楽しめるデザインが豊富。注染ならではの、色と色が混じり合う独特の柔らかい表現が特徴。
気(美しい気配)・音(美しい音色)・間(美しい間合い)という意味合いを込めたブランド「kenema」は、一枚絵としても楽しめるデザインが豊富。注染ならではの、色と色が混じり合う独特の柔らかい表現が特徴。

さらに、JIKAN STYLEの手ぬぐいには、「染めの技術」に大きなこだわりがある、と小寺さん。「わが社で取り扱っている手ぬぐいは、明治初期から続く『注染(ちゅうせん)』という染め技法で作られています。いわば職人の手作業でひとつひとつ丁寧に作られた、伝統品です。そんな手ぬぐいから、日本文化や伝統技術の面白さを知ってもらえたらうれしいですね」

手ぬぐいを飾るタペストリー素材や額など。季節に合わせて手ぬぐいを変えながら、アートとして楽しめます。
手ぬぐいを飾るタペストリー素材や額など。季節に合わせて手ぬぐいを変えながら、アートとして楽しめます。

 

楽しみ方は無限大!
風呂敷・手ぬぐいの活用法

いろいろな使い方ができる風呂敷や手ぬぐい。でも、実際の包み方まで知らない方が多いのではないでしょうか? 今回は、インテリアシーンで活用できる包み方を中心に、その手順を小寺さんに教えていただきました。

1.花瓶

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50cm小風呂敷「ブラインド」
600円(税別)

インテリアを華やかに彩る、花瓶。今回は、高さ20cmほどの花瓶を風呂敷でかわいくアレンジします。風呂敷のデザイン次第で、自分の部屋のイメージや飾る花を変えてみるのも楽しそうです。今回は、50cmの小風呂敷を使用します。包みたい花瓶の高さや幅に合わせて風呂敷のサイズを変えるのがポイントです。

【手順】
1.風呂敷の裏面を上にして敷き、包みたいサイズに合わせて天地の布を折り込む。(今回は、花瓶のくびれ部分に合わせています)
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2.そのまま下部の布を、くびれの部分まで折り上げる。
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3.左右の余った布を持って、クロスさせながらしっかりと巻き付ける。
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4.そのまま左右の布を花瓶の背面まで巻き付け、後ろで結んで完成。
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「真結びというリボンのような結び方が一般的ですが、今回は少し瓶の幅が太めだったので、結んだ後にくるくるとねじって仕上げてみました。お酒の瓶など包むときにもねじって仕上げることが多いです。一度跡が付いてしまった風呂敷や手ぬぐいは、洗濯してアイロンをかけてもOKですので、いろいろな花瓶でチャレンジしてみてください」

 

2.クッション

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90cm大風呂敷「七転八起 黒」
2000円(税別)
お気に入りのデザインの風呂敷を使って、クッションを包んでみましょう。お弁当を包むのと同じ要領で、とっても簡単に仕上げることができますよ。今回は、だるまの絵柄がかわいい90cmの風呂敷で包みます。

【手順】
1.風呂敷の裏面を上にして敷き、クッションを対角線上の中央に置く。
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2.天地の布を、クッションにかぶせるようにして包む。
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3.左右も同様に、中心に向けて包み込む。
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「この時はただ折り込むのではなく、三角形に折ってから中心に向かって包むと、すっきりとした仕上がりになるのでおすすめです」

4.上部持ってきた左右の布を、真結びして完成。
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「真結びとは、ほどけにくい風呂敷や手ぬぐいの基本の結び方です。立て結びにならないよう注意しながら結び、最後にリボンの形をふんわり整えてあげるとよりかわいく仕上がりますよ」

 

3.消毒液ボトル

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50cm小風呂敷「目覚め」
600円(税別)

今や家庭にひとつはかかせない、消毒液のボトル。風呂敷で包めば、インテリアのワンポイントにもなりそうです。50cm角の風呂敷を使って、アレンジしてみましょう。

【手順】
1.花瓶を包むのと同じ要領で、ボトルの高さに合わせて天地を折る。
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「ボトルは、すこし斜めを向いた状態で中央に置いてください」

2.天地の布をそのまま上に持って行き、ボトルにテープなどで固定する。
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「滑りやすいので、折り込む際はテープで固定するのをおすすめします」

3.左右の余った布を、ボトルに合わせて上に持ち上げる。
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4.ボトルのくびれ部分に合わせ、後ろで一度クロスさせる。
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5.クロスさせた布を前に持って行き、真結びで仕上げて完成。
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4.ティッシュボックス

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手ぬぐい「万象の幸福」
1600円(税別)

手ぬぐいを使えば、ティッシュボックスも簡単に包むことができます。お好みのデザインでティッシュボックスまでおしゃれにアレンジ。ぜひお試しあれ。

【手順】
1. 二つ折りにした手ぬぐいの中心に、ティッシュボックスを置く。
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「半分に折って使うのが一番簡単ですが、もし見せたい絵柄があるのであれば、大体手ぬぐい半分サイズになるように、左右の布を折って使うのもいいかもしれません」

2.左右の両端を箱に沿って折り上げ、テープなどで固定する。
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3.残った長辺の布も、同じように箱に沿って折り上げる。
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「この時に、一般的なティッシュボックスのサイズであれば、ちょうどティッシュのスリットが見えるくらいになります」

4.四隅をそれぞれ真結びして、完成。
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「風呂敷も、手ぬぐいのサイズに折り込めば、ティッシュボックスを包むことができますよ」

 

「風呂敷や手ぬぐいと聞くと、和装をする人のためのものだと思う人も多いかもしれません。しかし、生活のあらゆる場面で活用できる、どんな人にとっても便利なアイテムなんです。使ったことがない方も、まずは一枚、ぜひ手に取ってみてください。そこから、使い方の幅広さや伝統的な染めの技術など、風呂敷・手ぬぐいの奥深さに気付いていただけたらうれしいですね」

Profile

JIKAN STYLE KITTE丸の内店 店長 小寺千春(こでら・ちはる)

宮本株式会社のマネージャー兼同店の店長として、手ぬぐい・風呂敷の魅力を発信。お客様の用途や生活スタイルにピッタリのアイテムを提案している。

Store Data

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JIKAN STYLE KITTE丸の内店

所在地=東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE丸の内4階
TEL=03-6273-4580
営業時間=午前11時~午後8時まで
※2022年2月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業時間短縮中

オンラインショップ https://www.jikan-style.net/
Instagram https://www.instagram.com/jikan_style/

 

取材・文=室井美優(Playce) 撮影=西川節子