最近、ホームパーティが流行っていますよね。みなさんも家に友人を招待したり、逆にお呼ばれしたりすることが増えているんじゃないでしょうか。まさに“アットホーム”な雰囲気の中、お店で集まって飲むより気軽な気持ちでワイワイと楽しめるのが魅力。そのとき、場を盛り上げるのはやっぱり、料理です。
ただし、気のおけない友人と数人で集まるなら、出来合いの惣菜を買ってきたり出前を注文してしまうなど、それほど気を遣う必要はありませんが、集まる人数が増えたり、メンバーも友人がそのまた友人と連れ立って……となると、やはりそれなりにおもてなししたいもの。
では、どんな料理でおもてなしすればいいでしょうか? おいしくて手が込んでいそうで、みんなに喜んでもらえるのに、実は簡単。そんな条件にぴったりのおすすめレシピを、「バルミューダの『ザ・トースター』で作る3つの簡単ごちそうトースト」でもレクチャーしてくれた、川上ミホさんに教えてもらいました。
おいしくてビジュアル系の優秀フード。
おもてなしにはピンチョスが正解!
「“ピンチョス”は、本場のスペインバルでメジャーな、ひと口サイズのフィンガーフードです。基本的にはパンをベースに、いろいろな食材が乗ったもの。種類豊富に並んだ中から好きなものをピックアップして、ワインを飲みながらつまむんですよ。元々は食べやすいように、ひとつひとつにピンが刺さっていて、それで“ピンチョス”と呼ばれるようになったんですが、最近はピンがなくても、小さくカットした食材をトッピングしたフィンガーフードならそう呼ばれていますね。
そんなピンチョスが、ホームパーティでのおもてなし料理には最適だと思います。仲良しの友だちだけなら、ひとつのお鍋をみんなでつついてもいいんですけど、そこまで親しくなかったり、もう少しオフィシャルな会だったりしたら、あらかじめ取り分けられているほうが、みんなが遠慮せずに済むんですよ。ちょっとずつだから話しながら気軽につまめるし、お酒を飲めるひとだけでなく、飲めない人にも喜んでもらえます。ベースがあって、具があって、トップに彩りが乗っている、この構成さえできていればOK。もてなし上手に見えて、お料理が不得意でも作れちゃう救済レシピなんです。
テーブルがより華やかになるし、あれもこれもとつまむ楽しみが増えますから、いくつかバリエーションを用意したいところです。ひとつの食材をベースにしてバリエーションをつければ、意外と簡単。今回は、じゃがいもをベースにしてみました。いつでも手に入るし日持ちがするし、価格が比較的安値で安定していて、なにより誰もが大好きなじゃがいもは、私たちの味方ですよね(笑)。ぜひチャレンジしてみてください!」
じゃがいもを使ったピンチョス、5つのアイデア!
トルティージャ
もっともベーシックなピンチョススタイル。じゃがいもをミックスしたスパニッシュオムレツ風の卵焼きをベースに、チーズやトマトをトッピング。マスカルポーネチーズのさっぱりめのコクがちょうどよく、後引くおいしさです。
薄切りのじゃがいも(250g)とハム(60g)を、卵液(卵3個+生クリーム大さじ3)とあえて卵焼き器(なければフライパンでOK)に流し入れ、弱火でじっくり焼き上げます。スクエアに切り分け、マスカルポーネチーズを乗せて、輪切りにしたトマトとまとめてピンで留めます。トップにイタリアンパセリを飾って。
タコじゃが
星型のじゃがいもにタコ、パクチーのグリーンと、目を引くビジュアルで思わず手が伸びます。サクッと揚がったじゃがいもにタコの旨みがよく合い、仕上げのパクチーが味・香りのアクセントとして効いています。
7mm厚の輪切りにしたじゃがいもをクッキーの型で抜き、油でじっくりと揚げます。粗熱がとれたらマヨネーズを塗り、ひと口大にカットしたタコを乗せて。塩をふってオリーブオイルをふりかけ、仕上げにパクチーをちぎって散らせば完成です。
クッキー作りにハマって集めたけれど、最近は引き出しの奥で眠っている……。そんな型抜き再登場のチャンス。今回のベースであるじゃがいもやにんじんなど、野菜をこれで型抜きすると、ピンチョスのレパートリーにも変化が。
明太クリーム
土台となったのは揚げた食パン。明太子をミックスしたじゃがいもと相まった、こってりとした味わいに、スーパースプラウトがみずみずしさを与えて、さっぱりと食べやすくしてくれます。
食パンの“耳”を落として9等分にカットし、油で揚げます。じゃがいもは、皮をむいてひと口大にカットしたものを水から茹で、柔らかくなったらお湯を捨てて、マッシャーや木べらで潰します。そこへ明太子を加えてスプーンで練りまぜ、揚げた食パンの上にたっぷりと塗って。ブロッコリーのスーパースプラウトを乗せ、食パンといっしょに揚げておいたシソの葉を添えれば出来上がり。
パンとじゃがの生ハム巻き
揚げたじゃがいもパンのほのかな甘み、生ハムの塩け、クレソンのほんのりとした苦味が好バランス。生ハムのピンク色とクレソンのグリーンのコントラストもきれいで、ビジュアル的にも優秀です。
“耳”を落として9等分にカットした食パンと、パンよりひと回り小さくカットしたじゃがいもを油で揚げます。揚がったらクレソンを添えて、まとめて生ハムでラッピング。クレソンのグリーンが映えるよう、葉っぱの先を覗かせて可愛らしく。
カリカリコロッケ
衣にコーンフレークを使っているのがポイント。サクサクと歯ざわりもよく、中のふんわりなめらかなじゃがいもとの食感の差を楽しめます。タバスコが入ったソースがちょこっとピリ辛で、締まった味に。
皮をむいてひと口大に切り、柔らかく茹でたじゃがいもを潰します。水気を切った豆のミックス缶を加えて混ぜ、粗熱がとれたら、小さく丸めて。小麦粉、卵、砕いたコーンフレークの順で衣をつけ、油でカラリと揚げます。盛り付けは、お皿にケチャップとタバスコを混ぜたソースを塗り、そこへ揚がったコロッケを乗せるだけ。最後にイタリアンパセリの葉をちぎって散らして完成です。
“賑やかし”として、さらにお手軽なこんなひと皿も追加。モッツァレラチーズボールに塩をさっと振り、オリーブオイルをかけただけ! 最後に食用花“エディブルフラワー”をのせて仕上げます。
最後に、ホームパーティでピンチョスをテーブルにサーブするときに役立つ、コツを教えてもらいました。
「ケーキスタンドなど足の高いお皿を混ぜると、並ぶ料理に段差が生まれて、ぐんと見栄えがよくなります。でもひとり暮らしだったら、そういった大物の食器はありませんよね。それなら、ティーカップや蕎麦猪口などを台にお皿を重ねればOK! 即席ですが可愛く見えますよ」
美味しく、見た目にも可愛く、みんなに喜ばれるのって実は簡単! そんなピンチョスレシピを味方につけて、ホームパーティを楽しみましょう。
取材・文=@Living編集部 撮影=真名子
Profile
FOOD DIRECTOR / 川上 ミホ (W)
国内外のレストランを経て独立。食のスペシャリストとして書籍、雑誌、TVなどメディアを中心に活動。2014年、目黒区東山にプライベートレストラン「5 quinto」をオープン。2015年、Louis Vuitton city guide TOKYO 版掲載など注目を集めると共に、同名で食を中心としたライフスタイルブランドをスタートしている。また、2015年には、ローラさんのレシピ本「Rolaʼ s Kitchen」にてレシピ提供、執筆、フードディレクションを行い、2016年9月18日には「キッシュトースト」を上梓。
「キッシュトースト」(文化出版局)
薄く伸ばしたパンを土台にして、そこに具材とアパレイユを流してオーブントースターで焼くだけ――手軽に楽しめるキッシュトーストのレシピが盛りだくさんの一冊。「えっ、こんな組み合わせもありなの!?」と驚いてしまうけど、とにかくおいしそうなレシピが46も収録。
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