3. ミーニョ地方(ポルトガル)
− 緑のワイン、ヴィーニョ・ヴェルデ −
ポルトガルワインもまた、スペイン同様にEU加盟後に飛躍的にワインの品質が向上しました。また、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった国際品種が隆盛を極めるなか、国内の在来品種を守り続けているという点でも似通っています。国際品種の流行は同時にワインの地域性を薄めるといった指摘がされ、流行の見直しがされているなか、こうしたポルトガルの従来のブドウ品種で現代のワイン造りを行っていることはユニークであり、ひとつのワイン世界の最先端でもあるといえます。ミーニョ地方はポルトガル北西部ミーニョ河流域に広がるワイン産地で、日本でもよく知られる「マテウス・ロゼ」は、この地域のヴィーニョ・ヴェルデのロゼです。
直訳すると“緑のワイン”となりますが、ここでいうヴェルデは「若い」という意味でフレッシュな早飲みタイプ、元々はブドウが完熟する前に収穫される酸味の強い、痩せた没個性的なワインが大半を占めていました。ところが新世代の生産者たちはブドウを完熟させ、ワインの果実味や香りをより優れたものにするさまざまな工夫と努力の結果、現代的でみずみずしく、以前よりもアルコール分も高めの高品質なワインが造られるようになってきました。ブドウ品種はロウレイロといった地場品種をブレンドすることが主流でしたが、地続きのスペイン、リアス・バイシャスでも植えられるアルバリーニョが高品質ワインには採用され、大西洋沿岸の銘醸ワインとしての評価を固めつつあります。
下のワインは、まだ珍しいアルバリーニョを樽熟成させたレゼルバ・タイプ。オークのニュアンスに負けない柑橘系のリッチな果実感とアロマは地場のブドウを国際的なワインに昇華させた好例のひとつです。よく日本食に合うワインというテーマは、さまざまな議論を呼びますが、実はポルトガルの良質なヴィーニョヴェルデはもっとも合わせやすいワインのひとつではないか、と個人的には考えています。そういった意味では初めて日本に来たワインがポルトガルワインならば、今でも古くて新しい、遠いようで近い存在なのもポルトガルワインなのかもしれません。
Soalheiro(ソアリェイロ)
「DOP Vinho Verde Reserva(DOPヴィーニョ・ヴェルデ レゼルバ2018)」
5000円
輸入元=木下インターナショナル