ベストセラー本『藤井弁当』で第7回レシピ本大賞[料理部門]準大賞を獲得した料理研究家・藤井恵さんによる近著『THE藤井定食』は、その名の通り“定食”がテーマ。栄養バランスが良く、下ごしらえストックを活用するため簡単で時短でき、彩りも美しく、さらにフードロス対策にも……。数々のメリットは、定食だからこそのもの。
藤井さんに、この「藤井定食」の極意とおすすめレシピを教えていただきました。
「藤井定食」とは?
料理研究家・藤井恵さんが考案した定食のこと。野菜を切ったりゆでたりしただけの、簡単な“下ごしらえストック”を活用して作るのがポイントです。ストックがあると、当日の調理に時間と手間いらず。たくさんの品数を用意しても、さほど負担になりません。
トレイやお盆に小皿をのせて、おかずをいくつも用意するのが藤井流。こんなに作るのは大変そう! と思ってしまいますが、よく見ると、切っただけのトマトや納豆も。並べながら、全体の栄養バランスを考えられるところもメリットです。
「手間をかけて何品も作るのではなく、ただ茹でたもの、パックから出しただけのものを並べてもいいんですよ。こんなふうに並べるだけでテンションが上がりますし、ちょっとずついろいろな味を食べることで、食事が楽しくなります」(料理研究家・藤井恵さん、以下同)
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藤井定食の立役者、「豆皿」や「トレイ」
食事は見た目も大事。豆皿に少しずつ盛って、定食のかたちにすることで、食べるときの気分も華やぎます。藤井定食に欠かせないのが、和の豆皿やトレイです。
・和食のお皿
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和定食は、雑穀入りのごはんやお味噌汁、メインディッシュの他に、野菜や豆腐などを使った副菜を用意します。小さな副菜がいくつもあると賑やかで、ごはんも、そしてお酒もすすみます。
・洋食のお皿
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洋定食は、小さなオーブン料理に野菜をたっぷりのせられる、フラットな食器をチョイス。
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藤井恵『THE藤井定食』(ワン・パブリッシング)
レシピ本『THE藤井定食』には、藤井定食の極意と20の定食、さまざまな野菜の下ごしらえストックのレシピが紹介されています。
ここからはいよいよ野菜の下ごしらえストック、そして定食のレシピを教えていただきます。
藤井定食を支える
「野菜の下ごしらえストック」レシピ
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「藤井定食」の要となるのが、あらかじめ用意しておく、ストックです。いわゆる“作り置き”と違って、味つけはほとんどされていません。
「わざわざ休日に何時間もかけて用意するようなものではありません。ただ切っておく、ゆでておく、をするだけで充分。私は毎日夕飯の支度のときに、ストックを1〜2品作っておきます。ストックを作るためだけに料理するとなると、調理道具も出さなきゃならないし、洗い物もそのためだけにしなくてはならないですが、夕飯のついでなら気楽。そのくらいの手間加減ではじめてみると、習慣にできるようになりますよ」
ストックに向いている食材・調味料は?
ストックは、どんな食材でも作ることができます。生野菜も、サラダ用に葉物をちぎっておくだけでOK。ひとり分だと思うと、何種類もの葉物を買うのはためらってしまいますが、数日に分けて食べるなら、いろいろな葉野菜をミックスして作ることができますね。
「ストックする食材も調味料もどんなものでもいいのですが、基本的に味つけをしないでストックしておくほうが、使い回しがききます。だいたい3日を目安に食べ切ってください」
ストック食材の作り方
それでは5つのストック食材の作り方を教えていただきましょう。
・ストック焼ききのこミックス
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【材料】
・しめじ…100g
・マッシュルーム…100g
・生椎茸…100g
・白ワイン…大さじ1
・塩…小さじ1/3
【作り方】
1.きのこは小房にわける。
2.フライパンにきのこを入れ、白ワインと塩をかけてフタをし、弱火で炒める。
3.フツフツとしてきたら、フタを取って炒めて水分を飛ばす。
・ストック蒸し長いも
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【材料】
・長いも…300g
・塩…少々
【作り方】
1.耐熱皿に長いもを並べ、塩をふってラップをふんわりかけ、電子レンジで5分加熱する。
・ストック戻しわかめ
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【材料】
・カットわかめ…10g
【作り方】
1.たっぷりの水にわかめを入れて5分浸し、洗って水気をしっかり絞る。
・ストック細切り蒸しにんじん
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【材料】
・にんじん…2本(300g)
・オリーブオイル・塩…少々
【作り方】
1.にんじんは、スライサーで千切りにする。
2.耐熱皿ににんじんとオリーブオイル、塩を入れて、ラップをかけ電子レンジで2分半加熱する。
・ストック香味野菜サラダミックス
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【材料】
・ルッコラ・香草・クレソン…あわせて150g
・かいわれ大根…1パック
・サニーレタス…200g
【作り方】
1. すべての野菜はたっぷりの水で洗い、パリッとしたら水気を切る。
2. 野菜を小さめの一口大にする。
・ストックほうれん草の塩昆布だし浸し
【材料】
・ほうれん草…300g
・昆布…5×5cm 1枚
・熱湯…300ml
・塩…小さじ1/3
【作り方】
1.保存容器にほうれん草以外を入れて、冷ます。
2.ほうれん草をゆでて水に取り、4〜5cmの長さに切って水気を絞る。
3.ほうれん草を1に浸す。
それでは次のページから、これらの「下ごしらえストック」を駆使した、和洋2種類の定食レシピを教えていただきましょう。