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“海の緑黄色野菜”が腸内環境を整える!旬の「生わかめ」で叶う
腸活レシピ

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わかめの旬は、3月から6月。なかでも旬の時期ならではの味覚「生わかめ」は、肉厚で弾力があり、みずみずしいおいしさです。しかもわかめは、血糖値の急激な上昇を抑え、腸内環境を整える水溶性食物繊維や、β-カロテンも豊富など、“海の緑黄色野菜”と呼ばれるほどの存在。

そこで、海藻や大麦など腸を整える栄養にも詳しい管理栄養士の矢崎海里さんに、水溶性食物繊維を活かし、おいしく食べながら腸活も叶うレシピを教えていただきました。

豊富な水溶性食物繊維を含有
わかめの栄養成分は?

「わかめの主な栄養成分は、β-カロテン、ビタミンKなどのビタミン、カリウム、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などです。とりわけ皮膚や粘膜の健康を維持し免疫機能の維持や、抗酸化作用があるビタミンAに変換されるβ-カロテンの含有量は多く、海の緑黄色野菜と言われるほど。

また食物繊維には、水に溶けやすい水溶性と、溶けにくい不溶性の食物繊維がありますが、わかめには水溶性食物繊維が豊富。水溶性食物繊維は消化の途中でゲル状にふくらむため、満腹中枢を刺激し、血糖値の上昇を抑えます。また、善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える効果も。野菜だけではなく、わかめなどの海藻からも摂取していただきたいですね」(管理栄養士・矢崎海里さん、以下同)

部位によって、呼び方が変わる!?
「わかめ」「茎わかめ」「めかぶ」の違い

「水溶性食物繊維は、つるつる、ネバネバしたものに多いとされていますが、実はめかぶは“わかめの一部”であることをご存知でしたか? わかめは大きな一枚の葉っぱのような形をしています。真ん中に1本の筋が通った中芯が“茎わかめ”、その周りのヒラヒラとした部位が“わかめ”、根元の部分が “めかぶ”です。β-カロテンは、わかめとめかぶに多く、食物繊維は茎わかめにもっとも多く含まれています」

「生」「塩蔵」「乾燥」
生わかめのおいしさを味わえる保存方法は?

手に入るわかめには、生わかめ・塩蔵わかめ・乾燥わかめがあります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか?

・生わかめ
「生わかめの良さは、なんといってもそのみずみずしさ。弾力もあるので、食べ応えがあります。茹でる前の茶色い生わかめが手に入ったときは、ぜひ“しゃぶしゃぶ”にして食べてみてください。煮立っただし汁にわかめをくぐらせると、茶色から鮮やかなグリーンへと一瞬で変化します。そんな見た目の変化を楽しめるのも、この季節ならではです」

・塩蔵わかめ
「生わかめを塩漬けにしたもので、生わかめに近い食感が楽しめます」

・乾燥わかめ
「乾燥タイプの良さは、袋からそのまま使用できるお手軽さです。時間がないときのお助け食材となるでしょう」

「生」「蒸し」「焼き」
発酵食品と一緒に食べる、生わかめ“腸活レシピ” 3

「わかめ入り味噌汁を食べた場合、摂取できる量は20gほどです。今回は、旬のおいしさを楽しんでもらうため、わかめを40〜50gとたっぷり使用しました。善玉菌のエサになるわかめの水溶性食物繊維と、善玉菌そのものが含まれる発酵食品を組み合わせた腸活に適したレシピを紹介しましょう」

1.【生わかめ×キムチ】「わかめとキムチのナムル」
2.【わかめ×麹菌】「わかめと鯛の塩麹蒸し」
3.【わかめ×チーズ】「わかめとチーズの肉巻き」

【生わかめ×キムチ】
食物繊維もたっぷり!「わかめとキムチのナムル」

「まな板も包丁もフライパンも使わない、時短レシピです。大豆もやしのシャキシャキ感と、生わかめの弾力で噛み応え抜群。生わかめと大豆もやしの食物繊維、発酵食品のキムチが腸の環境を整えてくれます」

【材料(2人分)】

・生わかめ……80g
・白菜キムチ……40g
・大豆もやし……50g
・鶏がらスープの素……小さじ1/2
・ごま油……小さじ1
・白いりごま……適量

【作り方】

1.生わかめは食べやすい長さに切る。

「ボールの上で、キッチンばさみを使ってわかめを切れば、包丁、まな板が不要です。そのままボール内で和えられるので、調理道具が少なく済みます」

2.大豆もやしは耐熱容器に入れ、ふんわりラップをして600Wの電子レンジで2分加熱する。

「大豆から発芽した大豆もやしには、たんぱく質、食物繊維、カルシウム、大豆イソフラボンなどが含まれ、もやしのなかでも栄養価の高いもやしです。大豆もやしを食べやすく切る必要はありません。自身の歯でしっかり咀嚼することも、腸の蠕動運動を助け腸活につながります」

3.ボウルに1、2、白菜キムチを入れ、鶏がらスープとごま油を加え和える。

「大豆もやしから水分が出た場合には、水分によって味が薄まってしまうので水分を良く切りましょう」

4.器に盛り、白いりごまを散らす。

「味付けがしっかりしているので、おつまみやご飯のお供にもおすすめです。磯の風味たっぷり、つるりとしたわかめとごまは相性抜群。ごまとごま油で食欲のそそる和え物です」

【わかめ×麹菌】
鯛の旨みを吸ったわかめがおいしい!「わかめと鯛の塩麹蒸し」

「わかめと同じく、春が旬の鯛。産卵の前に栄養を蓄え脂ののった鯛の下にわかめを敷いて蒸すことで、鯛のうまみを吸ったわかめを楽しめます。発酵調味料である塩麹は、塩味だけではなく、お米の持つ甘さとうまみもたっぷり。味付けは塩麹のみとシンプルですが、素材のおいしさを引き立てます」

【材料(2人分)】

・生わかめ……100g
・鯛切り身……2切れ
・酒……大さじ1
・塩麹……大さじ1
・レモン(輪切り)……2切れ

【作り方】

1.アルミホイルに生わかめを置き、鯛をのせる。

「わかめを鯛のサイズにあわせて広げましょう。のちほど酒をふりかけることで、鯛の臭みを取ります。下処理をする必要はありません」

2.鯛に酒を振りかけ、塩麹をかけて、アルミホイルを包む。

「腸内環境を整える善玉菌には、さまざまな種類があります。塩麹には、麹菌が含まれています。塩麹は熱に弱いため加熱調理によって死菌となってしまう場合もあります。しかし、死菌後も腸内で善玉菌のエサになったり、悪玉菌の出す有害物質を吸着して外に出しやすくしたりと腸内環境を整えるサポートをします」

3.フライパンに水を50cc入れ、2を置く。ふたをして弱火で10〜12分蒸し焼きにする。

「蒸し焼きすることで、鯛に含まれるDHAやEPAの流出を防ぎます。流れ出てしまっても、下に敷いてあるわかめが吸収し、栄養を摂ることができます」

4.輪切りのレモンを添える。

「レモンの酸味は、唾液・胃液の分泌をサポートし、消化吸収を助け腸での消化吸収の負担を減らしてくれますよ」

【わかめ×チーズ】
焼いてもわかめの歯ごたえがしっかり「わかめとチーズの肉巻き」

「わかめを発酵食品であるチーズと一緒に巻くことで、善玉菌である乳酸菌を一緒に腸に届けます。生きた乳酸菌を腸に届けたい場合には、ナチュラルチーズを取るとよいでしょう。噛み応えのある生わかめを巻けば、食べ応えのあるメイン料理になります」

【材料(2人分)】

・生わかめ……80g
・豚ばら薄切り肉……8枚
・プロセスチーズ……4個
・塩・胡椒……適量
・サラダ油……小さじ1
・醤油……大さじ1/2
・みりん……大さじ1/2

【作り方】

1.プロセスチーズを1cmほどの大きさに切る。

「加熱をするとチーズが溶け出てしまう可能性があるので、チーズが残るよう1cmほどの太さに切ります」

2.豚ばら肉に塩・胡椒を振り、手前にわかめと1を置く。手前からきつく巻く。

「わかめを折り畳んで、チーズをくるむように巻きましょう。わかめがフライパンの熱からチーズを守り、チーズが溶け出るのを防ぎます」

3.フライパンにサラダ油を熱し、2を返しながら焼く。焼き目がついたら醤油とみりんを回し入れ、フライパンをゆすりながら全体に絡める。

「チーズもわかめも火を通す必要はないので、肉にしっかり火が通っていればOK。火の通りを最小限にとどめることで、チーズの乳酸菌を生きたまま届けられる割合が増えます。みりんと醤油の甘じょっぱさに、チーズのまろやかさ、わかめの歯ごたえととろみが加わって、新食感の肉巻きになりますよ」

旬の生わかめは、肉厚で弾力があり、加熱による煮崩れも少なく、さまざまな料理に取り入れられます。野菜から摂取しづらい水溶性食物繊維を多く含むわかめは、ぜひ日常的に食べたい食材。旬のみずみずしいおいしさを知ることで、食べる機会を増やし、健康維持に役立ててみてください。

Profile

管理栄養士 / 矢崎海里

一般企業の管理栄養士として働く傍ら、栄養に関するコラムやレシピ開発を行う。フードコーディネーターや薬膳コーディネーター、発酵食スペシャリストの資格をもつ。調理責任者の経験を活かし、おいしく食べながら健康に役立つレシピを多数執筆する。
HP

取材・文=加賀美明子(Neem Tree) 撮影=鈴木謙介