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築地の路地裏で知るワインの第4色、
「オレンジワイン」の魅力

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白ワインには魚、赤ワインには肉、ではオレンジワインには?

では、オレンジワインをもっと身近に楽しむために、どんな料理と合わせたらいいか、考えてみましょう。多種多様な料理法やペアリングの概念があるなかで、「白ワインには魚、赤ワインには肉」とさえもうロジカルには定義できない昨今、オレンジワインには一体何を合わせたらいいか、岩井さんに尋ねました。

「すごく難しく感じてしまいますよね(笑)。でも、劇的に合わないものって、実はそんなにありません。考え方としては、例えばキノコ類や魚をスモークしたものなど、『合わせるとしたら白ワイン系だけどいわゆる白ワインのフルーティーさを抑えてお料理に合わせたいな』と思う時、ぜひオレンジワインを選んでみてください」

加えて、私たち日本人にとっての身近な食べ物から、具体的に挙げてくれました。

「例えば発酵食品、味噌などはその代表で、オレンジワインにはとってもよく合います。それと漬物。ジョージアワインといぶりがっこのペアリングはいいですね! あと単純ですけど、パン。ワインとパンって当たり前の組み合わせのように思われていますが、なかでもオレンジワインとの相性は抜群なんです。自然酵母や全粒粉など、噛むほどに旨味を感じるパン、歯ごたえのある雑穀パンなど。さらに茶葉などオレンジワインの中にも感じ取ることができる味わいの要素をパンに練り込めば、ぐっとオレンジワインとの距離が縮まります」

さらに、“岩井流”ペアリングとしては……

「雲丹! これは意外といけます(笑)。うちのワインバー酒美土場は、食べ物の持ち込みがOKなんです。築地場外市場という場所柄、海の幸の持ち込みも多いのですが、なかでもオススメは雲丹です。あのトロッとした食感と、後味に残る複雑な感じがぴったりなオレンジワインもあります」

以上から推察するに、海外からの来店客も多いとはいえ、オレンジワインに関しては特に日本人の方が受け入れられやすいのでは?

「そうですね、基本的にどの国の方も喜んで飲んでくださいますが、個人的には日本人の味覚の許容範囲は広いと思います。家庭料理の中でもいろいろな食材を使いますし、いろいろなタイプの味わいに慣れていますよね。また、日本食は全体的に落ち着いた味わいが多いですよね。辛味や酸味など特定の味わいが突出していることがなく、さまざまな要素がバランス良く含まれていて中庸です。オレンジワインも、白ブドウからフルーティーな果汁という特定の要素だけを取り出して造る白ワインとは違って、皮や種、ときには梗(茎)の部分も一緒にワインの要素として取り入れるので、苦味、酸味、渋味など、本来ワインとしては敬遠されがちな要素も加わって複雑に構成されています。そういうオレンジワインの持つ味わいのトーンと、私たち日本人が慣れ親しんだ食文化のトーンは似ているように個人的には感じています」

↑岩井さんがオレンジワインの魅力とともに提唱する独自の試飲方法“感覚テイスティング”。「無駄な情報を遮断したときに本来の味わいがわかる」というもので、部屋の照明や冷蔵庫など電化製品の電源さえも最低限に落とした静寂のなかで行う。液体に多くの要素を含むオレンジワインも、また違った味わいの発見につながるという。
↑岩井さんがオレンジワインの魅力とともに提唱する独自の試飲方法“感覚テイスティング”。「無駄な情報を遮断したときに本来の味わいがわかる」というもので、部屋の照明や冷蔵庫など電化製品の電源さえも最低限に落とした静寂のなかで行う。液体に多くの要素を含むオレンジワインも、また違った味わいの発見につながるという。

 

最後に、オレンジワインが人を惹きつけるポイントをまとめましょう。また、おすすめの銘柄ももう少し、ご紹介します。