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2022年は「ポテトミルク」が注目!?世界の「サステナブル」トレンド予測

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ライフスタイルや価値観が変化するなか、2021年は世界各国でサステナビリティに対する取り組みが加速しました。2022年もその動きはより活発化するでしょう。では、具体的にどのような動きが見られるようになるでしょうか?

英国・米国・ロシアにおける事例を取り上げながら、「フードロス」「ヴィーガン食&サステナブル食」「脱プラ・脱ゴミ」をテーマに、世界のサステナビリティトレンドを予測します。

 

1.ロックダウンで進化する「フードロス」

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2021年秋に国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されたばかりの英国では、官民挙げてフードロス削減活動が盛んです。同国政府は、すでに禁止されているプラスチック製の使い捨てストローなどに加え、ナイフやフォーク、プレートなども禁止する計画を2021年11月に発表しました。

民間ではフードシェア・アプリの利用が広がり、最近はスーパーや飲食店の余剰食品を慈善団体や一般市民に無料配布する「オリオ」が人気です。スーパー最大手「テスコ」 やカフェチェーン「プレタマンジェ」と提携したこともあって、急速に普及しました。

出品する店舗と食品を受け取る人をマッチングさせるほか、家庭で食べきれない食品を個人同士でシェアすることも可能。フードロスの解決だけでなく、ロックダウン(都市封鎖)で地域の助け合い意識が高まったことも拡大要因でしょう。このアプリには、ユーザーが環境保護にどの程度貢献できたかを知ることができるコンテンツも備わっています。

 

一方、米国の「スフィット・マーケット」は、いびつな形や不ぞろいなどの理由で市場に出荷できないオーガニック農産物を農家から引き取り、インターネットを通じて契約者に約40%割引で提供しています。毎週または隔週、自宅に届くサブスクリプション形式で、数量は家族の人数に合わせて選べ、数量の変更や追加注文も可能です。

本来は廃棄される野菜を流通させることでフードロス問題を解消できる上、「オーガニック野菜は欲しいものの、高価で買い控えてしまう」という消費者にもメリットを提供できます。量や届く回数も調整可能なため、家庭でのフードロス防止にもつながると言えるでしょう。

 

フードロスを減らす動きはロシアでも見られます。同国では、レシピに必要な量を測った食材の宅配ミールキットサービス「ウージンドーマ」が人気。レシピで使う肉や魚、スープ、シーフードなどが冷凍パッケージ化され、レストランのようなメニューをわずか30分程度で作ることができます。

家族の人数に合わせて量をきちんと測ってあるので、食材が余ったり、使いきれずに廃棄したりという心配がありません。また、配達に適さない規格外の野菜はその都度、孤児院などの慈善団体へ寄付され、その様子もSNSで配信されています。

 

2.ポテトミルクを生み出したヴィーガン料理

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最近英国では、ヴィーガン乳製品ブランド「Dug」が人気。従来、欧米では環境への悪影響が少ない植物性ミルクが注目されていましたが、植物由来にありがちな水っぽさやクセがないポテトミルクの人気が急上昇しているのです。多数の地元メディアが報じているように、2022年には「ポテトミルク」がビッグトレンドになるかもしれません。

原料となるジャガイモは、牛乳と違ってアレルギーを引き起こす心配がなく、少ない水で育つために栽培が容易な上、環境ガス排出量もほかの植物性ミルクより少ないとのこと。牛乳に匹敵する量のカルシウムを含み、食物繊維やカリウム、ビタミンCなども豊富です。

 

ロシアでもヴィーガン食は人気で、モスクワ市内だけで専門レストランが20店舗近くあり、年々増加中。ほとんどのカフェやレストラン、屋台などで“肉なしボルシチ”などのメニューがあり、コロナ禍でヴィーガン料理のデリバリーも活発化しました。宅配食材キットやスーパーの商品にも、多くのヴィーガンメニューが取り入れられています。

最近は「ヴィーガン料理のほうがおいしいし、オリジナリティがある」という理由で、流行に敏感なモスクワっ子たちの間ではヴィーガンがファッションのひとつとして定着しつつあるようです。

 

3.もはや「脱プラ・脱ゴミ」は常識

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世界中で“脱プラ”が進むなか、大手生活用品メーカーのユニリーバは、2020年から英国のサステナビリティストアで商品のリフィル(詰め替え用品)運用試験を開始。洗剤やバス用品などを再利用が可能なステンレス鋼ボトルに入れて販売しています。

これは、消費者がボトルを購入し何度も補充できるシステムで、パッケージのQRコードを使うことでボトルのライフサイクルや使用回数を追跡可能。2025年までに非再生プラスチック使用量を半減し、販売量よりも多くのプラスチックパッケージを回収・再生することを目指します。

 

米国スタートアップ企業のネクスタイルズは、ミシガン州の自動車産業やアパレル産業で排出される繊維くずを原料としたリサイクル建築用断熱材「エコブロウ」を、2020年に開発しました。無害なグリーンコーティングで処理するなど、耐熱性や難燃性などの高性能を有しており、再生素材として繊維廃棄物の削減につながっています。

現在は古着やファブリックなど、企業の繊維廃棄物をピックアップするサービスも展開中。資源再生に向けた持続可能なソリューションを提供しています。

 

ロシアでは、サステナビリティを強く意識した商品が市民権を得る動きが見え始めました。2018年オープンの「ゼロウェイスト・ショップ」は店名どおり、廃棄物ゼロ活動を軸としています。店頭にはゴミを極力減らす商品が並び、若い世代のモスクワっ子に人気です。

持参容器に商品を入れる購入方法もあり、豆腐をタッパーで持ち帰ることも可能。地産地消に力を入れ、小さなベンチャー企業の商品でも「ゼロウェイスト意識」が高ければ、積極的に店頭に並べられます。例えば、食器洗い用スポンジに代わり、日本でもなじみ深いヘチマが売られているんですよ。

店頭にはアドバイザーがいて、ゴミを削減するための効率的な工夫や取り組みを教えてくれるなど、小さな学校のような役割も果たしているそう。SNSを使い、ゼロウェイストやサステナビリティを意識した生活のコツなども配信しています。

 

海外ではサステナビリティ関連の商品やサービスが驚くほど速く進化しており、日常生活では当たり前の存在になりました。若い世代を中心に今後はサステナブル意識がさらに高まり、消費行動に大きな影響を与えると見られます。サステナブル“革命”はまだまだ続くでしょう。

 

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