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身体にも地球にもやさしい!虫除け効果のあるハーブと取り入れ方

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キャンプやバーベキューなど、アウトドアのベストシーズン。虫除けや日焼け止めは必須ですが、化学成分入りの強力なものは肌への負担が気になる上、環境への負荷も気になります。そこで最近、見直され注目が高まっているのが、もともと虫除け効果をもつハーブの活用です。

そこで、ハーブ研究家の柴田敬子さんに、虫除け対策に効果的なハーブの活用法を教えていただきました。

 

なんでこんなに刺されるの?
蚊が寄ってくる理由

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同じ場所にいても、蚊に刺されやすい人とそうでない人がいます。この理由はどこにあるのでしょう?

「O型は刺されやすいとか、太っていると刺されやすいとか、いろいろな説を聞いたことがあると思います。蚊が好んで寄ってくる主な要因は、体温と汗の匂いと言われているようです。そのため、体温が高い人や汗をかいている人が狙われやすくなるようです。お酒を飲んだ後は体温が上がるので刺されやすく、足の臭い状態も注意した方がいいでしょう」(ハーブ研究家・柴田敬子さん、以下同)

 

化学物質の「ディート」はプラスチックを変色させる!?
蚊除けスプレーの使いすぎには注意!

蚊が出てくる夏はどうしたって汗をかきやすいもの。だからこそ、公園やアウトドアなど、緑の多い場所へ出かける際には、虫除け対策が欠かせません。

「市販の虫除けスプレーはとても便利です。しかし、使用上の注意をよく読んで用法と用量を守ることが大切です。虫除けスプレーに含まれている化学物質の『ディート』という成分は、プラスチック製品の変色を起こす可能性があると言われています。小さなお子さんがいると、蚊にさされて赤く腫れ上がってしまうのはかわいそうなので、念入りに虫除けスプレーをしたくなりますが、できるだけ化学物質は避けたいものです。ならば、ディートと同じ働きをする虫除けハーブや、蚊の嫌がる匂い成分のあるハーブを使いましょう。環境にも体にもやさしい虫除け対策ができますよ」

 

ベランダや窓辺で育てたい、虫除けに効くハーブ

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園芸店で手軽に手に入り、育てやすい虫除けハーブを見ていきましょう。

「ピンクの花が咲く『ローズゼラニウム』は、蚊取草(カトリソウ)とも呼ばれ、虫除けハーブの代表的な存在。葉をこするとバラの香りがします。『レモンユーカリ』はレモンのような香りのするシトロネラールという虫が嫌う香り成分が含まれていて、メンタンジオールという成分はディートと同じ虫よけ効果が期待できます。消臭効果もあるので、汗のニオイを抑える働きも得られます。

ミント系ハーブの中では『日本ハッカ』『ペパーミント』がいいでしょう。スーッとする香りのメントールは蚊が嫌がる成分です。ミント入りスプレーを肌に吹きかけたり、ハーブティとして飲用したりすると、体感温度を下げる効果も期待できますよ。猫が好む『キャットニップ』というハーブのネペタラクトンという成分は、ディートの約10倍という蚊よけ効果があると言われています。ただし、猫が好むハーブなので、猫を飼っているご自宅での栽培は、愛猫に荒らされてしまう可能性もあります。

また、リラックス効果の期待できるラベンダー、料理の付け合わせにも重宝するローズマリーも虫除け効果が期待できます。

ハーブの栽培は植え付け時に肥料を元肥としてあげれば、あとは基本的に水やりだけで育ちます。ベランダや窓辺など、日当たりのよい場所へ置いておけば、グリーンに癒され、虫除け効果も得られます」

 

逆に、蚊や虫が寄ってきやすいハーブとは?

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逆に虫が寄ってきやすいハーブには、どのようなものがあるのでしょうか?

「蚊は人間や動物の血だけではなく、花の蜜も好むようなので、ハーブだけに限らず、花のたくさん咲いている時期は注意が必要です。あとは、ディルセロリフェンネルイタリアンパセリのようなセリ科のハーブ。おいしい葉には、カメムシなども寄ってきます。大きめのバッタは、ミントなどの葉を食べることもあります。

庭やベランダで虫除けハーブを育てている際も、ハーブの葉が生い茂って影ができている場合には注意してください。ジメジメした湿気の多い空間には虫が集まってきてしまいます。鉢の受け皿に水が溜まっている状態も注意が必要です」

 

自家製ハーブのチンキでつくる、
虫除けスプレー&バーム

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虫除けハーブをチンキにすれば、虫除けスプレーやクリームが簡単に作れます。ここではその作り方を紹介します。

 

チンキの作り方

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【材料】
・お好みの虫除けハーブ……適量
・無水エタノール……適量
・ウォッカ(アルコール度数40度以上)……適量

 

【作り方】

1.好みの虫除けハーブを水で洗い、ペーパーでよく水気を拭き取ってから2〜3時間ほど置いてよく乾かす。

2.空のガラス容器に無水エタノールを振りかけ、ペーパーで全体をよく拭き取って除菌する。

3.1のハーブをハサミで細かくカットしながらガラス容器の8〜9割くらいまでギュウギュウに詰める。

4.ウォッカをハーブがひたひたに浸かるくらいまで注ぎ、蓋を閉めて、常温の冷暗所で保管する。毎日1回、軽くゆすり2週間置く。

5.コーヒーフィルターなどを使って濾し、遮光瓶に入れれば完成。

「虫除けハーブはお好みのものを何種類混ぜてもOK。水気が入ると雑菌の繁殖が起きやすくなるので、しっかりと乾かし、ガラス容器の除菌も忘れずに行いましょう。遮光瓶がない場合は容器の周りをアルミ箔で包んでください。無水エタノールはドラッグストアで購入できます」
「虫除けハーブはお好みのものを何種類混ぜてもOK。水気が入ると雑菌の繁殖が起きやすくなるので、しっかりと乾かし、ガラス容器の除菌も忘れずに行いましょう。遮光瓶がない場合は容器の周りをアルミ箔で包んでください。無水エタノールはドラッグストアで購入できます」

 

虫除けスプレーの作り方

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【材料(スプレー30ml分)】

[敏感肌の場合]
・チンキ……3ml
・グリセリン…5ml
・精製水…22ml

[通常]
・チンキ……10ml
・精製水…20ml

 

【作り方】

1.アルコール対応のスプレーボトルに、ビーカーで量ったチンキとグリセリンをスポイト等で入れる。

2.精製水をビーカーで量り加えて、よく振り混ぜれば完成。

「肌の強い人はグリセリンを入れなくても大丈夫です。虫よけハーブは、蚊に刺された後にも使うと、炎症を抑える効果が期待できます。スポイトは100円ショップ、グリセリンや精製水はドラッグストアで購入できます」

 

虫除けバームの作り方

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【材料(30ml分)】
・チンキ……10ml
・白色ワセリン…20g

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【作り方】

1.耐熱ガラスのビーカーにチンキと白色ワセリンを入れる。

2.弱火の湯煎にかけながら、15分間ガラス棒等で混ぜる。

3.遮光性のあるクリーム容器に入れ、固まれば完成。

「耐熱性のビーカーやバームを入れるケースは100円ショップでも購入できます。15分間、混ぜ続けるのが少し大変ですが、ハーブの香りのバームはハンドクリーム代わりにも使えて重宝します。白色ワセリンはベビー用以外のものでもOK。ドラッグストアで購入できます」

 

吊るしておけば虫除けできる、
一石二鳥のドライハーブ

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冒頭で紹介した虫除けハーブが育ちすぎて剪定したいときにおすすめなのが、ドライにすること。風通しのよい窓辺に吊るしておけば、ドライにしている間も蚊除けの効果が得られます。

「市販されているドライハーブのほとんどが外国産です。自宅でハーブを栽培すれば、農薬や化学肥料、 食品添加物等の不安もなく、安心安全にドライハーブが簡単に作れます。香りはフレッシュハーブよりも劣りますが、効能は同じなので、チンキを作ることもできます。ハーブをしっかりと乾燥させたら、密閉容器で保存しましょう。ドライハーブは1年間保存できます」

 

ハーブの効能を使ったおすすめ虫除けグッズ

ハーブの効能を使った虫除け対策は、まだまだありました。

サシェ

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サシェとは、フランス語で「香り袋」のこと。「オーガンジーや麻などの生地を使った小袋に、虫除けハーブを入れて靴箱やシューズの中に入れておくと、消臭効果があります。息子の靴は特に汗臭が強いので、虫除けハーブやレモングラスのような消臭効果のあるハーブのサシェでニオイ取りをしています。フレッシュハーブでもドライハーブでも作れます」

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ハーブディフューザー

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虫よけに良い精油(アロマオイル)をアロマポットで焚けば、部屋に拡散し虫の侵入を防ぐことができます。

「化学成分の入った殺虫剤を振るよりは、断然、体に負担の少ない虫よけ精油ですが、精油は成分が濃縮されているため、ペットがいる場合、小鳥やハムスター、猫、小型犬等の小動物等には 精油成分が濃く、脳に良くない影響を及ぼす可能性のあるものもあるので避けましょう。妊婦さんや小さなお子さんがいる場合も避けた方がいい精油があります。 そのような場合には、濃縮されたアロマディフューザーではなく、やさしく香るハーブを焚く、ハーブディフューザーはいかがでしょうか。チーズフォンデュ用のお皿が深い容器にたっぷりと水を張り、虫よけハーブを入れてキャンドルで焚くとハーブティーのようにやさしく香りながら虫よけもでき、ペットにも小さなお子さまがいても安心して使えます」

 

ハーブティー

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体の中に取り入れることで、虫除け効果が期待できるのもハーブの魅力です。「ペパーミント、日本ハッカ、ニットキャップ、ローズマリーなど、飲用可能なハーブを飲むのもおすすめです。ハーブティーはガラスポットにハーブを入れ、熱湯を注いで蓋をして3分蒸らします。 ティーカップに注ぐ前に蓋の上の蒸気に含まれている成分をハーブティーの中に振り落としてから注いでください」

 

ハーブバス

虫除け効果のあるハーブを入れたお風呂は、リラックス効果も抜群!「夜の入浴時にはラベンダーでほっとひと息、朝ならば、シャキッと目覚めを促すローズマリーがおすすめです。もちろん、お好みの香りのハーブを選んでくださいね。数種類をブレンドするのも効果的です。フレッシュハーブの方が香りは強くでますが、ドライハーブを使っても効能は得られます。細かくなったハーブは排水溝に詰まる可能性もあるので、洗濯ネットや麻袋などに入れた状態で湯船に入れるようにしましょう」

 

ほかにも、キャンプ用のランタンには、シトロネラ入りのオイルを使えば虫除け効果があります。ハーブ農園を営んでいる柴田さんが畑で愛用しているのは、130年の歴史を持つ「金鳥の渦巻」だそう。蚊取り線香に含まれている除虫菊はシロバナムシヨケギクというキク科の多年草です。ハーブを使った虫除け方法は意外と簡単にできるので、試してみてくださいね。

Profile

ハーブ研究家 / 柴田敬子

メディカルハーブコーディネーター、アロマアドバイザー。古賀ハーブ農園「Borage.(ボリジ)」の経営者。エステティシャン歴10年。無農薬ハーブを栽培と販売、ハーブ加工品やハーブティーのプロデュース、ハーブ雑貨の販売などもしている。ハーブアロマ教室やハーブアロマワークショップなどにも注力。3児のママ。
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取材・文=今井美由紀(Neem Tree)