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7台を駆使するヘビーユーザーが出したスマートスピーカーがある
“便利な暮らし”の答え

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人工知能を搭載したスマートスピーカーは、そのセンセーショナルさもあり“身近なハイテクギア”として、ここ数年で一気に普及しました。まるで映画のような未来を実現する音声での家電コントロールや、コンシェルジュのような生活サポートが可能になったのです。ところが、期待感とは裏腹に思ったほどの利便性を実感できず、今では結局使っていない、というユーザーの声も聞こえてきます。

そこで、ガジェットに精通し7台ものスマートスピーカーを所有するという甲斐祐樹さんに、その活用法や愛用者として実感するメリットをあらためて聞いてみました。

甲斐祐樹さん。大手電機メーカーを経て、IT系メディアのウェブニュース記者として活躍。ブロードバンド時代からインターネットにつながる家電について取材を重ねるなど、IoT製品や技術について造詣が深い。現在はハードウェアのベンチャー企業で役員を務める。妻と一児の三人家族。
甲斐祐樹さん。大手電機メーカーを経て、IT系メディアのウェブニュース記者として活躍。ブロードバンド時代からインターネットにつながる家電について取材を重ねるなど、IoT製品や技術について造詣が深い。現在はハードウェアのベンチャー企業で役員を務める。妻と一児の三人家族。

 

スマートスピーカーの今と、選び方のコツ

ここ数年でモデル数が一気に増えた印象のあるスマートスピーカー。現時点でどのようなメーカーが参入し、勢力図はどのようになっているのでしょうか?

「ハードウェアとしてのスマートスピーカーは、GoogleとAmazonの2強で、ほぼ寡占状態です。あとはLINEの「Clova(クローバ)」やAppleの「HomePod(ホームポッド)」がありますね。ほかに、JBLやソニーといった音響系のメーカーからも登場していますが、AIの部分はやはりGoogleかAmazonのものとなっているのが現状です」(甲斐祐樹さん、以下同)

やはり先行した2強が目立つ様子です。それぞれ、どういった人に向いているのでしょうか。選ぶ際の、基本的な考え方とは?

「やはり普段、サービスをよく利用しているブランドと相性がいいはず。たとえばAmazonは、同社の会員サービス『Amazonプライム』に加入している人向けですね。スマートスピーカーも連携するので、よりコンテンツが便利に使えます。例えばディスプレイ付きのエコーであれば動画も見られます。一方、Googleも同様に、アカウントを持っている人であれば、Googleカレンダーと連携してスケジュールを読み上げるなど、各種サービスの連携が可能です。ほかにLINEは、音声による通話とビデオ通話ができるという特徴があります。AppleもAmazonのように、iPhoneやiPadを使っていたり『Appleミュージック』のようなサービスを利用している人に適していると思います」

ただし、家電との連携には、メーカーによって大きな違いはないといいます。基本的には、自分が使っているクラウドサービスのブランドに合わせるのが便利なようです。

 

家電コントロールの鍵はスマートリモコン

このように生活を便利にしてくれるスマートスピーカーですが、もちろん“なんでもできる”というわけではありません。むしろ、対応する家電以外は音声コントロールも難しい印象があります。

「スマートスピーカーと連携する家電、いわゆる『スマート家電』は発展途上で、対応するモデルはまだ数が少ないですね。空気清浄機に対応モデルが出て驚きましたが(笑)。そもそも、生活家電は買い替えサイクルが長いんです。ハードウェアの機能を後付けするのは難しいので、スマートスピーカーが登場する以前に購入したテレビやエアコンでは、音声コントロールは難しいのが現状です」

でも、今ある物をなんとか使えるようにしたいのですが……。

「やり方がないわけではありません。それには、スマートスピーカーに加えて『スマートリモコン』と呼ばれるものが必要になります。赤外線でコントロールできる家電を登録すれば、スマートスピーカーに連携させられるアイテムで、これを使えば音声による家電コントロールの可能性が広がります」

甲斐さんが実際に使っているのは、リビングでは+Style「スマートマルチリモコン」。多くの家電製品と相性が良く、照明・テレビ・エアコンは音声コントロールしています。

リビングには+Styleのスマートリモコン、寝室には「Nature Remo(ネイチャーリモ)」を設置。とくに+Styleを使う理由はエアコンとの相性が良いためだと言います。部屋全体をカバーできるよう、壁の上部に設置していました。
リビングには+Styleのスマートリモコン、寝室には「Nature Remo(ネイチャーリモ)」を設置。とくに+Styleを使う理由はエアコンとの相性が良いためだと言います。部屋全体をカバーできるよう、壁の上部に設置していました。
スマートリモコンがあれば、家中の赤外線リモコンをまとめてスマートスピーカーに連携。現在、テレビ(「プレイステーション4」のリモコンも兼用)、レコーダ、エアコン、照明を置き換えています。
スマートリモコンがあれば、家中の赤外線リモコンをまとめてスマートスピーカーに連携。現在、テレビ(「プレイステーション4」のリモコンも兼用)、レコーダ、エアコン、照明を置き換えています。

「今後はすべての家電がスマート機能を持ち、スマートスピーカーを介してコントロールできるようになるはずです。さらに、音声でのコントロールはスマートスピーカーの一機能でしかなく、画面タッチやテキスト入力、ジェスチャーなど、その場に合わせて操作できるようにもなるのではないでしょうか」

 

いま活用しているモデル、実際使ってどう?

では実際に甲斐さんは、スマートスピーカーをどのようなシーンで活用しているのか、甲斐さん流のスマートスピーカー活用術を教えてもらいましょう。本当に便利なのでしょうか?

「便利ですよ! 地味な機能ですが、照明はもう音声コントロールなしではいられませんね。寝るときに『おやすみなさい』で照明を消し『行ってきます』で同じくオフにする設定にしています。たとえば寒い時期に、布団に入ってから電気を消し忘れてもう一度布団から出るのって、絶対嫌じゃないですか。こうした“ながら”作業ができるのが、スマートスピーカー最大のメリットだと思います」

たしかに何気ないけれど、便利さを実感できそうな使用例です。ほかにもどんな使い方をしているのか、愛用する7台についてそれぞれ聞きました。

スマートスピーカーにタッチディスプレイが搭載された「Google Nest Hub(グーグルネストハブ)」は、
食事の準備や後片付けの間に映画やドラマをながら見できるよう、キッチンに設置。面倒なキッチン仕事も楽しくなるとか。
スマートスピーカーにタッチディスプレイが搭載された「Google Nest Hub(グーグルネストハブ)」は、食事の準備や後片付けの間に映画やドラマをながら見できるよう、キッチンに設置。面倒なキッチン仕事も楽しくなるとか。
5.5インチのコンパクトなディスプレイを備えたAmazon「Echo Show 5(エコーショー5)」は、照明やテレビを手動でコントロールしたいときのために、リビングの入り口に設置。また、Amazon系のスマートスピーカーはスマートリモコンを使ったテレビのチャンネル操作に標準で対応しているので、テレビの操作にはこのEcho Show 5を使用しているそう。
5.5インチのコンパクトなディスプレイを備えたAmazon「Echo Show 5(エコーショー5)」は、照明やテレビを手動でコントロールしたいときのために、リビングの入り口に設置。また、Amazon系のスマートスピーカーはスマートリモコンを使ったテレビのチャンネル操作に標準で対応しているので、テレビの操作にはこのEcho Show 5を使用しているそう。
「Google Home Mini」の第2世代である「Google Nest Mini」は、リビングでのメイン操作用。照明やテレビ、エアコンのコントロールに使用しています。ただ、キッチンと距離が近いため「Google Nest Hub」が同時に反応してしまうことも多く、Nest Hubに集約すべきか検討中とか。ヘビーユーザーならではの悩みです。
「Google Home Mini」の第2世代である「Google Nest Mini」は、リビングでのメイン操作用。照明やテレビ、エアコンのコントロールに使用しています。ただ、キッチンと距離が近いため「Google Nest Hub」が同時に反応してしまうことも多く、Nest Hubに集約すべきか検討中とか。ヘビーユーザーならではの悩みです。
寝室の照明とエアコンをコントロールするために置いているのが「Google Home」。この操作にはどのスマートスピーカーを割り当ててもよかったものの、音量操作が本体上部をなぞるだけで済みGoogle Home Miniよりもやりやすいことと、スマートスピーカーが余っている(!)から、というのが理由だとか。
寝室の照明とエアコンをコントロールするために置いているのが「Google Home」。この操作にはどのスマートスピーカーを割り当ててもよかったものの、音量操作が本体上部をなぞるだけで済みGoogle Home Miniよりもやりやすいことと、スマートスピーカーが余っている(!)から、というのが理由だと言います。
LINEの「Clova Friends」。離れて暮らす母親とのLINE通話用に、固定電話とセットで置いています。
LINEの「Clova Friends」。離れて暮らす母親とのLINE通話用に、固定電話とセットで置いています。
Amazonの「Echo Spot(エコースポット)」は時計&タイマーとして浴室前に設置。お風呂上がりにバスルームを掃除し、1分後にはシャワーで流す、といった作業にリズムをもたせるために活用しています。
Amazonの「Echo Spot(エコースポット)」は時計&タイマーとして浴室前に設置。お風呂上がりにバスルームを掃除し、1分後にはシャワーで流す、といった作業にリズムをもたせるために活用しています。
コンセントに直接差して使える「Echo Flex」は、上部に搭載された人感センサーを活用。リビングに入ったら自動で照明がオン、一定時間人の動きがなければ自動でオフ、となるよう設定しています。
コンセントに直接差して使える「Echo Flex」は、上部に搭載された人感センサーを活用。リビングに入ったら自動で照明がオン、一定時間人の動きがなければ自動でオフ、となるよう設定しています。

 

カルチャーが身近になった

これだけのスマートスピーカーを活用されている甲斐さん、意外な発見もあったそうです。

「映画やドラマといった動画のながら見や、音楽のながら聞きなど、コンテンツの消費時間が増えましたね。加入しているサブスクリプションも活用できるようになって、毎日に占めるカルチャーの割合が増えたのは意外でした。ほかにも裏技ですが、天気予報に合わせて照明の色を変えるというテクニックがあって、自然なアラートで外出時の傘を忘れなくなったのも便利です(笑)」

前述した照明のオンオフのように“ながら作業”ができるようになったことが一番のポイントのようです。また「プレイステーション4」も、実は音声コントロールできるのも意外なメリットだそう。

 

家族誰でも“話すだけ”で家電を操れる便利さ

妻と3歳の子どもの三人家族で暮らす甲斐さんは、家族で利便性を分かち合えるのも、スマートスピーカーのいいところだと言います。

「設定なんかは僕がやりますが、一度完了すれば音声で直感的に家電をコントロールできるので、妻も重宝しています。両手が荷物でふさがっている時などに照明をオンにしたり、同様にエアコンをコントロールできるって便利だと喜んでいますね」

リビングではロボット掃除機も連携。掃除しなきゃ、と思い立ったときも屈むことなく、ひと言スマートスピーカーに命令するだけ。ハイテクで快適な暮らしを実現しています。

ロボット掃除機も+Styleをチョイス。スマートリモコンも合わせてアプリによる一元管理できるのが楽なのが導入の理由だそう。
ロボット掃除機も+Styleをチョイス。スマートリモコンも合わせてアプリによる一元管理できるのが楽なのが導入の理由だそう。
そのアプリでは、スマートフォンひとつで家中の連携するデバイスを一元管理。
そのアプリでは、スマートフォンひとつで家中の連携するデバイスを一元管理。

 

今後はディスプレイ型に移行していくのでは

ここまで便利なスマートスピーカーの使い方や、活用例を見せてもらいましたが、最後に今後の動向についてどのように予測するか、教えていただきました。

「最近、機能面ではディスプレイ搭載モデルの登場で、ビジュアルを有効に使った情報表示や動画・写真表示など、利便性が向上しました。ですから今後は、ディスプレイ搭載モデルがスタンダードになっていくでしょう。一方で、『Amazon Flex』のようなコンセント一体型、モーションセンサー連動など家庭内それぞれの場所に最適化したスマートスピーカーも登場するはずです。お風呂に特化した防水モデルや、バッテリー内蔵型が増えることなどにも期待しておきましょう」

写真は7インチの「Google Nest Hub」。上位モデルで10インチのGoogle Nest Hub Maxはビデオチャット機能が便利だそうですが「10インチはさすがに大きすぎるので、このサイズでビデオチャット対応したモデルがあるといいと思います」と話していました。
写真は7インチの「Google Nest Hub」。上位モデルで10インチのGoogle Nest Hub Maxはビデオチャット機能が便利だそうですが「10インチはさすがに大きすぎるので、このサイズでビデオチャット対応したモデルがあるといいと思います」と話していました。

スマートスピーカーの存在がもてはやされた当初から早6年あまり。各社から出揃って選択肢が増え、機能もこなれてきた今こそ、我が家にスマートスピーカーを導入、あるいは再び活躍させるチャンスかもしれません。

 

取材・文=三宅 隆 撮影=真名子