LIVING 住まい・インテリア・暮らし

シェア

吊るして見やすく、縦収納で柔軟に!自立しないリュックとトートバッグの
スッキリ収納術

TAG

ネットにさえつながれば、どこでも仕事ができる時代になりました。その影響もあり、通勤バッグとしてリュックや丈夫な生地のトートバッグを選択する人が、女性でも多くなっています。

ところが、リュックにはショルダーなどストラップがいくつもあるし形もそれぞれ、トートバッグはサイズが多様で、自立しないものがほとんど。クローゼットでかさばり、収納しにくいですよね。そこで、リュックやトートバッグなどお気に入りのバッグをいつでも取り出しやすく、スッキリと収納する方法を、整理収納コンサルタントの本多さおりさんに教えていただきました。

ビジネスシーンでも
女性の“リュック率”が高まっている!

エシカルバッグブランド「FUMIKODA(フミコダ)」が2022年1月に行ったリサーチによると、もっとも人気の高いバッグは「トートバッグ」(51.1%)で、続いて「ショルダーバッグ」(36.2%)、「リュックサック」(26.2%)、「ハンドバッグ」(23.4%)という結果でした。

出典=FUMIKODA「働く女性のお仕事バッグ調査」(20歳以上の女性932人対象/2022年1月実施)

2018年の同社の調べでは、「リュックサック」(9.0%)だったことから、女性のリュック需要が大幅に高まっていることがわかります。またサイズは、ノートパソコンやA4書類が入る中サイズのニーズが高い様子。それだけ、収納に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

バッグを収納する際に大事なこと

整理収納コンサルタントとして、暮らしをシンプルに楽しむための収納整理術を紹介している本多さおりさんは、6歳と4歳の男の子のママ。中古マンションをフルリノベーションした住まいが魅力的です。

「わたしにとってバッグは、おしゃれのアイテムというよりは生活の道具です。そのため、機能性を重視し必要なサイズのものを最低限の数で回しています。

バッグというのは、使う人によって関わり方やバリエーションが変わってくるもの。会社員か在宅ワーカーかの違いでも、必要なバッグの形や数が変わってきます。収納する上で大切なことは、どんな種類のバッグがあるのかが一目瞭然で、サッと手に取れることです」(整理収納コンサルタント・本多さおりさん、以下同)

1.どこで開き、何を入れる? 生活動線を考えて置き場所を決める

在宅ワーク中心のさおりさんの自宅では、パソコンの下の棚がパートナーの仕事用バッグの置き場所だそう。

「夫は帰宅後、キッチンを抜けてまっすぐ歩いて来たら、カバンを開くことなく、そのまましまっています。PC、資料など仕事道具が入っている大きめで重いバッグなので、吊るすよりも平置きが適しているので、棚にスペースを取っています。バッグを置いたら、ズボンのポケットから財布をデスク上のカゴに置いて、ズボンを脱ぐ、というのが動線に沿った流れ。クローゼットまで行く必要なく、帰宅後の動作が完了しています。
みなさんは、帰宅後から翌朝まで、通勤用バッグとどのように向き合っているでしょうか? バッグの中からお弁当箱を出す人、帰宅後にバッグから荷物をすべて出す人、毎日なにかをバッグに入れる人などは、そうした作業を行う最初の場所の近くに収納場所を決めておくと、スムーズに動けるかもしれませんね。どこで開くのか、何を入れるのか、関わる動作を洗い出し、どこにバッグがあると動きやすくなるのかを考えてみましょう」

2.頻繁に出番があるバッグは手に取りやすい場所に吊るす

パートナーの仕事用バッグを置く棚の横に吊るしてあるのは、お子さんとのおでかけ時に使う子育て用バッグ。本多さんご夫婦は兼用で使用しています。

「消毒用スプレーや除菌ティッシュ、絆創膏などのケアアイテムなどを入れた子育て用リュックは、家族で出かけるときに持っていきます。これは毎週出番のあるものですし、とても軽いので、手に取りやすい場所に吊るしています。子どもと一緒にいるときは、自由に動き回りやすい状態でいたいし、軽量なのはマスト。しかも、このリュックはポケットが多いので、どこに何を入れるのかを決めておけば、必要なものが必要なときに、サッと取り出せます。黒なので男性でも女性で持ちやすいというのもあり、何年も愛用しているお気に入りです」

3.複数のスタメンバッグはS字フックに1つずつ吊るし目立たない場所に

本多さん個人の、普段から出番のあるバッグは、ウォーターサーバーの後ろの壁面に突っ張り棒をかませて、S字フックを使った吊るし収納をしています。

「ウォーターサーバーの後ろの壁に吊るしているバッグは、外で仕事をするときに使うパソコンが入る手提げ、銀行などにいく時に使うトートバッグ、わたし一人でお出かけするときに持つ小さめタイプの3点です。
バッグの持ち手が引っ掛けやすく、落ちにくいようにS字部分が深めのタイプを使っています。基本的に1本のS字フックに1種類のバッグをかけているので、取り外すときに、ほかのバッグが落下することがありません。日常使いはこれですべて。安易に数を増やすことはしませんし、どれもがワンアクションで取り出しやすいのでノンストレス。浄水器が目の前にあることで、目隠しの働きもしてくれています」

「スタメンバッグは用途別に使い分けを明確にしておき、数をしぼっておくとバッグを探したり、どのバッグを持って行こうなどと悩んだりすることはありません。そして、サッと手に取りやすい場所に収納。わたしの場合、リビングのワークスペース横にこの収納場所を設けているので、財布や必要なものを持って、すぐにバッグに入れることができます」

4.出番の少ないバッグはクローゼットで管理

1泊旅行や帰省などで使う大きめのナイロン製バッグは、クローゼットの奥に吊るして収納。

「日常での出番はないのでクローゼット保管でも問題はないのですが、出番が少ないために、引き出しの奥に仕舞い込んでしまうと、いざというときに見つからなくなります。引き出しやボックスで保管する場合は、引き出しの表面にラベリングをして、ありかを明確にしておくといいでしょう。
可能であれば、目に入りやすい場所にフックで吊るす、または、クローゼットにかけるのがおすすめです。服と同じポールに吊るして収納する際には、バッグ類を壁側に寄せて、服に埋もれないようにしましょう」

5.出番のないものは一定期間隠し、手放す心の準備を

ほとんど出番がないけれど捨てられないバッグ類は、視界に入らない場所で一定期間寝かせましょうという本多さん。

「バッグだけではなく、服や食器も同じ。普段、あまり手に取らないものはレギュラー収納から取り出し、見えない場所にしまいこんでみてください。もし、半年とか1年寝かしても出番がなければ、手放せるかもしれません。一度、開いてみると、仕舞い込んだときよりも必要性を感じなくなっていることは多いものです。
一度は気に入って買ったものなので、いつまでもレギュラーの棚に置いておくと、使わないのに捨てられない状態が続きがち。そして、場所だけ取るので、ほかのバッグが埋もれてしまいます。バッグは見えなくなると使わなくなるので、普段使いしたいバッグはとにかく見やすい場所に取り出しやすく収納することを心がけてください」

処分するときにはその理由も考えてみる

本多さんのように、必要最小限に断捨離できたら管理も楽なはず。でも気に入ったバッグを手放せないでいる、という人は多いでしょう。寝かせていたバッグ類を取り出したとき、それらはどうして使わなくなったのか、理由を考えてみることが大切です。

「子どもが生まれて生活スタイルが変わったからとか、好みが変わったという場合もあると思います。それはある意味、仕方のないことかもしれません。しかし、それ以外にも、『重いから』とか、『取り出しにくいから』とか、『コーディネートに合わせにくいから』などという要因もあり得ます。

どんなアイテムでも言えることですが、人には好みや選び癖というものがあるので、似たようなバッグを購入してしまいがち。使いやすいものならいいのですが、使いにくくて出番がないバッグ購入を繰り返すのは避けたいですよね。なので、買ったけれどなかなか出番なく処分する場合は、なぜ使いにくいのか、その原因をしっかりと自分で把握することで、失敗をするリスクが減らせます」

まずはあるもので収納を試してみる!
さらなる快適収納術の見つけ方

それでもとっておきたいバッグがたくさんある…という場合は? 最低限のバッグの量をキープしている本多さんは、吊るし収納だけで事足りていますが、実際はそれだけでは収まりきらない人の方が多いかもしれません。

「せっかく持っているバッグ。すべてを取り出しやすく、また傷まないように収納できたらいいですよね。そのためにもっとも大切なことは、テクニックありきで進めないこと。
例えば、ブックエンドを使った仕切り法などは、わずらわしく感じる方も少なくありません。S字フックや棚、ボックスなどの収納アイテムを買い足す際にも、いきなり買うのではなく、しばらくは家にあるもので代用して、お試し期間を設けること。子ども服の服を入れているボックスに似たものをリビングに置いてバッグを入れたらどうかな? と思ったならば、子ども服を出して、そのボックスで仮のバッグ収納コーナーを作ってみます。そうすることで、実際に使った場合の感覚がわかり、ボックスの形やサイズが適しているのか、ボックス収納ではない方がよさそうなのかなど、気づきが得られます。
暮らしの動線を考え、自分に合いそうな収納テクニックを、家にあるものを使ってトライしてみる。このお試し期間を設けることが、不要なものを増やさずに自分に合う収納方法を見つける近道です」

バッグが多い人は
こんな収納アイテムを使うのもおすすめ!

・キャスター付き収納でクローゼット下部の空きを有効活用

本多さん著『もっと知りたい無印良品の収納』(KADOKAWA)より

本多さんの著書より、おすすめのバッグ収納の例をご紹介します。こちらは、クローゼットの下側のアクセスしづらい場所にバッグコーナーを設けた例。

「無印良品のカスタマイズできるシェルフを1段使ってバッグ用の収納にしています。クローゼットの下スペースが有効に使える上に、キャスター付きなので取り出しやすく、掃除もしやすくなっています。バッグをクローゼットに吊るすときは、服と服の間に入り込まないように、壁面側に寄せておくことも、取り出しやすくするポイントです」

・さまざまな形のバッグをまとめるなら丸型のボックスを活用

『もっと知りたい無印良品の収納』(KADOKAWA)より

さまざまな形のバッグを1か所にまとめるときは、四角いボックスよりも丸型ボックスを選ぶのがコツだとか。

「四角いボックスの方が綺麗に整頓できそうなイメージを持つ方もいると思いますが、丸型の方がどんなバッグの形にもなじみます。バッグの方から、隙間をうまく移動してくれるので、きれいに収まるんです。このとき、上に重ねるのではなく、すべてがサッと取り出せるように、縦収納にすることも心がけてください」

こんな収納方法はどうかな? と考えてみて試す。そして結果をフィードバックして、ブラッシュアップ。生活スタイルが変われば、収納方法もその都度アレンジしていく。「暮らしは実験です」という本多さんは、収納方法のみならず、生活用品や家事との向き合い方をアップデートしているそうです。最初から収納ボックスを揃えるのではなく、家にあるものを使って、まずは気になる方法を試してみましょう。

Profile

整理収納コンサルタント / 本多さおり

生活重視ラク優先の整理収納コンサルタント。暮らしをラクにまわす工夫に日々想いをめぐらせて、心地よい暮らしを探究。夫、長男(6歳)、二男(4歳)の4人家族。2019年に中古マンションを購入し、家事がラクで家族みんなが暮らしやすい家を目指し、フルリノベーションを図る。『もっと知りたい無印良品の収納』(KADOKAWA)、『今の暮らしを快適に変える収納レッスン』(宝島社)ほか著書多数。

HP=https://hondasaori.com/top/

取材・文=今井美由紀(Neem Tree) 撮影=安藤佐也加