FOOD グルメ・レシピ・クッキング

シェア

家でワインを楽しむための蘊蓄講座ワインの世界を旅する 第2回
―イタリアと5つの産地―

TAG

トレンティーノ=アルト・アディジェ ~イタリア最北のワイン産地ではドイツ語が話される~

20210223_atLiving_wine-italy_005-2

トレンティーノ=アルト・アディジェ州は、南のトレンティーノと北のアルト・アディジェに大別され、イタリア20州の中でも特徴的なのは、フランス品種やドイツ品種が多く栽培されていることでしょう。南のトレンティーノでは、シャルドネの高品質なスパークリングワインやイタリアでも最高のボルドー・ブレンド、地場品種では「テロルデゴ」など、魅力的なワインが造られています。

そして今回は北側、イタリア最北のワイン産地、アルト・アディジェのワインを紹介しようと思うのですが、その魅力はなんといってもイタリアでもっともワインが選びやすい点。大半のワインがDOCアルト・アディジェに区分され、表示は基本的に品種名と生産者、加わってもせいぜい畑の名前と、イタリアワインらしからぬわかりやすいエチケットになっています。

赤ワイン用品種はカベルネやメルロー、ピノ・ノワールのほか、固有品種である「ラグレイン」や「ヴェルナッチュ」、白ワイン用品種はシャルドネやソーヴィニヨン・ブランといった国際品種に加え、リースリングやシルヴァーナー、ゲヴュルツトラミネール、この地域では主役になりつつあるピノ・グリージョやピノ・ビアンコと多士済々(たしせいせい)といった趣です。

とくに色調が濃く、力強さもあるピノ・グリージョと、華やかでフローラル、みずみずしさとキリリとしたミネラル感を併せ持ったピノ・ビアンコは、どちらも本家ブルゴーニュやアルザスのワインと比べてもまったく見劣りせず、同時にアルト・アディジェらしさともいえるオリジナリティある魅力的なワインが数多く産み出されています。イタリア語よりもドイツ語が主流で、街の看板にはドイツ語とイタリア語が併記されており、チロル文化の色濃く残る街並みはワイン同様、イタリアらしからぬ魅力的な地方アルト・アディジェ、イタリアワインに馴染みのない方でも手に取りやすいイタリアワインです。いえ、南チロルワインと呼んだほうがいいのかもしれません。

20210223_atLiving_wine-italy_005
Nals Margreid(ナルス・マルグライド)
「Pinot Bianco”Silmian”2017(ピノ・ビアンコ“シルミアン”2017)」
4000
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

※ワインの価格はすべて希望小売価格です

Profile

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

撮影=真名子 [ワイン、人物]