3. ジュネーブ州
− もっともフランスに近いスイス −
レマン湖の南西端に位置する国際都市ジュネーブは、人口19万人、スイスではチューリッヒに次ぐ第2の都市です。周辺はスイスのフランス語圏ワイン産地の一角としてヴァレー、ヴォーに次いでスイスワインを語るうえで重要な地域です。
ジュネーブのワイン産地は、スイスの他のどの産地よりも今、大きく変わろうとしています。元々ヴァレーやヴォーと同じようにシャスラがもっとも重要で多く栽培されるブドウ品種でしたが、ガメイが追い抜き、ピノ・ノワールやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといったフランス品種が主流となりつつあって、フランス語圏のワイン産地のなかでも、よりフランス的な色合いの濃い新たなスイスワインらしさを表現しようとしているのです。そういった流れはナポレオンの時代、短いながらもフランスに併合されていた時期もあり、フランスとスイスの文化の融合するジュネーブのワインとしては、自然なことのようにも思えます。
今回紹介するジュネーブのワインは、フランス国境沿いに接するダルダニー村のソーヴィニヨン・ブラン。1980年代にフランス、ロワールのサンセールから持ち込まれたブドウで造られたソーヴィニヨン・ブランは、優しい酸がエレガントで品のある果実感を支える、本家と比較するとより柔らかな白ワイン。スイス、ジュネーブの名物料理といえばチーズフォンデュ・ラクレットですが、シャスラ以上に好相性の上質なワインです。そういう意味では、“スイスの白ワイン”というのはチーズとの相性という点で、他のどの産地のワインよりイメージしやすいワインなのかもしれません。
Domaine les Hutins(ドメーヌ・レ・ユタン)
「Sauvignon Blanc 2019(ソーヴィニヨン・ブラン2019)」
4500円