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「AGE」研究の第一人者が解説する老化を促進する
高AGE食品はどれ? セーフなのは?

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食品からとり込まれ、体内に多量に蓄積されると老化を加速してしまう「AGE」。たんぱく質と糖が結びつくことによってできるAGEは、どうしても溜まっていくものではありますが、食べものからとりこむ量を、できる限り1日の許容範囲内に抑えておきたいところ。

では、何をどのくらい食べればAGEの数値的にセーフなの? 避けたい高AGE食品とは? そのあたりの“勘”が働くようになれば、アンチエイジング対策もぐっと身近なものになるはず。今回もAGE研究の第一人者・山岸昌一先生にお話を伺っていきます。

【関連記事】「AGE」研究の第一人者が解説。健康寿命を縮め美容を妨げる老化物質「AGE」の正体とは?

 

AGEの摂取量の目安は?

そもそも、1日のAGEの摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか?

食事から入ってくるAGEを数値化した「exAGE」でいうと、その目安は1万5000 exAGE。今回はもともとAGEの高い食品や、意外に高AGEな食品に焦点をあてて、AGE値とともに紹介していきますので、参考にしてみてください。

 

肉は部位によってAGE量が違う

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肉には、糖とたんぱく質をくっつきやすくする脂質も含まれているため、調理するとAGE量が多くなります。意外に多いのが、焼き肉で人気の牛タン。また、挽き肉も多めです。

肉をマリネしたり、脂身を除いたりしてから調理すると、AGEを抑えることができます。

鶏肉AGE図表
豚肉AGE図表
牛肉AGE図表

 

脂がのった魚はAGE量が多め

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魚も肉と同様、脂がのった魚や部位は、AGE量が高くなります。刺身や蒸し物、煮物にするのが、AGEを増やさないコツ。いくらなどの魚卵も少し高めですので、たくさんの量を食べないようにしましょう。

ちなみにイカ、カニ、エビは、比較的、AGE量が少なめです。

魚AGE図表
魚卵AGE図表

 

ベーコン、ソーセージ、ハムには要注意

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加工食品は、保存がきくように製造過程で水分などをとり除くため、たんぱく質と糖がくっつきやすくAGE化が進みます。さらに、砂糖などを使っているため、AGE量は増えます。とくに肉を原料としているベーコン、ソーセージ、ハムは要注意。

なかでも、ベーコンはたった30gで4039 exAGEと、驚きの数値です。朝食でおなじみのカリカリベーコンは、こんがりと焦がすため、よりAGE量が増えます。ベーコンは1枚約20g。半分に切ったベーコンを3枚フライパンに並べ、卵をひとつ落として目玉焼きを作ると、それだけで1日の許容量の1/3以上のAGEを摂取することになります。
肉加工品AGE図表

魚の練り物もAGEは高くなります。干物や乾物も水分を飛ばすため、生のものよりもAGEは高めです。しかし、干すことによって、カルシウムが増えるなどのメリットもあります。
魚加工品AGE図表

 

フルーツのAGE量は?

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フルーツは甘いほど糖度が高く、AGEは増えますが、その量は多くはありません。ただし、果物の糖分は果糖といい、ブドウ糖よりも体内でAGE化するスピードが速い糖を多く含んでいます。フルーツはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富ですから、食べ過ぎに注意してうまくとり入れるようにしましょう。

また、甘くはありませんが、アボカドは脂質が多いぶん、919 exAGE(1個・175g)とかなり多めです。
フルーツAGE図表

 

“濃縮還元“に要注意!

フルーツジュースの画像

では、野菜ジュースやフルーツジュースはどうなのでしょうか?

実は意外にも、これらのジュースは高AGE食品なのです。生のフレッシュジュースならよいのですが、濃縮還元という方法で作られているものは、たとえ100%果汁でも要注意。果汁に熱を加えて濃縮していますのでAGEが多く含まれます。また、濃縮している分、糖が多いうえに製造の行程でどうしても食物繊維などの機能性成分が減ってしまいます。栄養の摂取をジュースに頼らず、野菜や果物そのものを食べることをおすすめします。

 

 

「とはいっても、毎日毎日、AGEの量ばかりに神経を使っていては疲れてしまいますから、もう少しざっくりととらえてコントロールするのが長続きのコツです。たとえば1週間のトータルでAGE量を調整してみましょう。今日はベーコンを食べたから、明日はお刺身にしようといった具合です。また、調理法を工夫するだけでも、だいぶAGEの量をコントロールできますよ」(山岸先生)

栄養のバランスを大事にしながら、AGEも意識した食生活を送っていきたいですね。次回は、AGE量をメニューごとに見ていきます。

※参考文献『数字でわかる老けない食事 AGEデータブック』(監修=山岸昌一/AGE研究協会)

 

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Profile

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昭和大学 医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授 / 山岸 昌一

総合内科専門医、糖尿病学会専門医、循環器学会専門医。高血圧学会専門医。日本抗加齢協会理事。平成元年、金沢大学医学部卒。金沢大学医学部講師、ニューヨーク留学をへて、久留米大学医学部教授を10年間勤め、平成31年より昭和大学医学部教授。糖尿病と心臓病の研究から老化の原因物質AGE(エージーイー)に着目。AGEに関する最新データを次々と発表し、その英文論文数は600編を超える。世界で最も精力的に老化、AGE研究に取り組んでいる医学者の一人。AGEに関する研究で、アメリカ心臓病協会最優秀賞、日本糖尿病学会賞、日本抗加齢医学会奨励賞など多数の医学賞を受賞。「ためしてガッテン」「あさイチ」「たけしのみんなの家庭の医学」「夢の扉」「林修の今でしょ講座」「主治医が見つかる診療所」「羽鳥慎一モーニングショー」などの多くのテレビ番組や5大新聞で研究成果が大きく取り上げられる一方、「AGEを抑え、老化を防ぐ食養生」について一般向けに広く啓蒙活動も行っている。

 

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