理想のカラダや健康を手に入れるため、誰でもダイエットには多少なりとも興味があるでしょう。でも、そのやり方は千差万別。どんなメソッドが正しいか、自分に合っているのか悩みどころですよね。そんな中、話題を呼んでいるのが「ファスティング」という手法。一定期間、食事をとらずに過ごすという、いわゆる”断食”のことで、体重減少だけでなくさまざまな効能があると言われています。でも、いきなり誰でも断食なんてできるわけありませんよね。
そこで自然療法や漢方に関する数々の著書と、テレビ出演などで活躍するイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、初心者でも始められるファスティングのコツをうかがいました。
現代人はそもそも食べ過ぎです
———まず最初にファスティングとは、どうすればいいのでしょうか? 断食といえば過酷なイメージしか湧きません……。
石原新菜先生(以下、石原):おっしゃる通り、断食と聞くと、水もすべて断つと考えている方が多いのですが、そんなことはありません。むしろ水分を抜くのはとても危険なので、オススメできませんね。例えば、当クリニックの伊豆の道場では、リンゴとニンジンを搾ったジュースを飲んでいただいています。ビタミンとミネラルを効率良く摂り、消化を良くするためには、繊維が入っていない方がいいので、ミキサーでなくジューサーを使うんです。ビタミンは約30種類、ミネラルは約100種類も摂ることができるんですよ。
———そんなに!? そもそもビタミンやミネラルに、そんなに種類があることを知りませんでした。
石原:ええ(笑)。世界中の自然療法をやっているところで、このリンゴとニンジンのジュースはよく取り入れられているんです。漢方の観点からいうと、リンゴは北で採れるものだからカラダを温めるし、ニンジンも根菜なので同じくカラダを温める効果を持っています。少し前に流行った“グリーンスムージー”も、栄養素としてはいいのですが、これも漢方から見ると葉物野菜はカラダを冷やしますし、南国のフルーツを入れることも多く、同様に体温低下を促してしまいます。欧米ではとても流行りましたが、肉中心の食生活だからこそ、それを中和するために必要だったわけです。そもそも日本人は欧米に比べて筋肉量も少なく、冷え性の人が多いですから。
———なるほど、そうだったんですか。では栄養素を補いながら断食をするわけですが、ズバリその効能とは?
石原:まず、胃腸を休ませてあげることができます。食べ物の消化・吸収というのは、実はとても大きなエネルギーを必要とするんです。現代人は朝・昼・晩と食事をとりますから、常に胃腸を酷使している状態。休ませてあげることで自然治癒力が高まって、デトックス作用をもたらしてくれます。さらに、腸を休ませることで便通が良くなり、食べていないのにいつもより量が多くなることも。漢方には「吸収は排泄を阻害する」という言葉があるくらいです。
ほかにも尿が濃くなったり、耳ダレが出たり、目ヤニが多く出たりと、カラダの老廃物が排出されます。人によっては口臭・体臭がキツくなるといった症状が出ることも珍しくありません。老廃物を溜め込んでいる人ほど、出方は激しくなります。
———すごいですね……。その効果はどのくらいの期間、断食をすると現れるんですか?
石原:本格的な断食は1週間続きますが、4〜5日間程度が多いですね。1〜2日ではそういった症状は現れません。あと効能としては、気持ちが前向きになりますね。脳からエンドルフィンやドーパミンが分泌され、頭がよく冴える。よく眠れるようになるし、免疫力のアップ、味覚の改善なども。そう、いいことばかりなんです(笑)。ケガをした動物はよく食べずにじっとしているでしょう? あれは、消化のエネルギーを全て回復にまわしているからなんですよ。
昔の人は「朝飯前」という言葉があるくらい、朝から畑仕事などをしていました。一方、現代人はデスクワークで運動量も少ないのに、しっかり3食を食べている。これは明らかに食べ過ぎ。だから病名は高血圧・高血糖・高尿酸と「高」がつくものばかりです。カラダが対処しきれていないんですね。
ファスティング(断食)が叶えること
・ダイエットに効果がある
・胃腸が休まる
・デトックスできる
・味覚が改善される
・免疫力がアップする
・気持ちが前向きになる
・頭が冴える
・快眠を得られる
ファスティングのメリットが理解できたところで、ではどのように取り組んだらいいのでしょうか?