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女性ホルモンが肌も体も左右する!産婦人科医・高尾美穂先生に聞く
生理周期に合わせたスキンケア&ダイエット

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3つの時期でコントロールする「フェムテックダイエット」法

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女性ホルモンの力を活かしながら行う“フェムテックダイエット”とは、どういう方法なのでしょうか?

「先ほど4つの時期の生理周期を説明しましたが、女性の体の状態変化で見る場合は、月経期、卵胞期から排卵期、黄体期の3つの時期に分ければよいでしょう。生理直後がもっとも体は軽く、体調のよい時期になります。このタイミングがダイエットにもっとも適した時期。ランニングや筋トレなどを取り入れて、積極的に体を引き締めていきましょう。

黄体期はむくみや便秘、頭痛などのPMS(月経前症候群)に悩まされやすく、食欲増加が起きやすくなります。もっとも体重が増える時期でもあるので、体重を落とすというよりもキープできればOK。体が重く感じ、イライラや不安の起きやすい時期なので、ヨガやウォーキング、ストレッチなどで血液の循環を促し、リフレッシュを心がけましょう。

生理の始まりから出血の多い時期は、鉄分やタンパク質が失われやすく酸素の運搬力も落ちるので、運動には不向きです。生理痛や腰痛をやわらげるストレッチ程度にし、冷えを防ぎ血の巡りがよくなるように、深い呼吸を心がけるのがよいでしょう」

3つの時期で調整する“フェムテックダイエット”

・月経期(生理中)
女性ホルモンがもっとも低いリセット期。運動効果が得られにくい。出血の多い時期は生理痛や腰痛をおさえるため、血液の循環を促すストレッチ程度にして、体をゆっくり休めることを心がける。

・卵胞期〜排卵期(生理後〜排卵まで)
エストロゲンが最も増える時期。体も心も快調で、もっともダイエットに適している。ジョギングや筋トレなど、ハードなエクササイズを取り入れてアクティブに過ごしたい。

・黄体期(排卵後〜生理前まで)
プロゲステロンがもっとも増える時期。食欲が湧きやすく、PMSに悩まされることも。体重を落とすことに注力するのではなく、体重キープを心がけ、ヨガやウォーキングなどでリフレッシュできるエクササイズを取り入れる。

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3つの時期に合わせた食事コントロールで、
肌コンディションを整える

エストロゲンの分泌量が多い時期が、肌や髪のコンディションがもっとも良い状態。

「例えば、結婚式を最高の体調で迎えたいのであれば、卵胞期〜排卵期の挙式がベスト。前もって基礎体温を付けておくことでタイミングを調整したり、ピルの服用などで生理周期をコントロールしたりすることはできます。そういう大勝負ではなく、エストロゲンの分泌が高くない時期でも肌や髪のコンディションをなるべく良い状態に保つためには、生理周期に合わせて運動や食事をコントロールするといいでしょう。

生理中は、基礎体温が下がることで冷えやすく、鉄分やタンパク質が不足しやすい時期なので、体を温めるショウガや鉄分豊富なマグロやあさりなどを取り入れるといいですね。

卵胞期〜排卵期は、筋肉量を増やすような高タンパクで低脂肪の卵や鶏ムネ肉、牛もも肉などの食材を多めに取り、筋トレなどのハードなエクササイズをするのが効果的です。

黄体期は、プロゲステロンの作用でインスリンの働きに影響が生じ、血糖値の急低下が起きることで食欲増加につながります。そのため、血糖値のアップダウンをゆるやかにする玄米やオートミール、全粒粉のパンなどを取り入れつつ、全体の食事量は変えずに食事回数を増やし、1日5食に分けることで食欲増加を和らげるといいでしょう」

食事内容で肌や髪のコンディションを保つコツ

・月経期(生理中)
マグロやあさりなどの鉄分やタンパク質食材、ショウガなどの体を温める食材を取り入れる。

・卵胞期〜排卵期(生理後〜排卵まで)
卵や鶏ムネ肉、牛もも肉など、低脂肪で高タンパクな筋肉量を増やす食材を取り入れる。

・黄体期(排卵後〜生理前まで)
血糖値の急降下で食欲増加が起きやすい時期なので、血糖値のアップダウンをゆるめる玄米やオートミール、全粒粉のパンなどを取り入れ、1日の食事量は変えずに回数を増やす。

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生理周期を正しく理解するには
“基礎体温”をつけることが大切

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生理周期を取り入れたダイエットを行うならばもちろん、生理周期を理解することが欠かせません。

「生理周期を無視して、月経期にハードはエクササイズをすると貧血や体調不良が起きやすくなります。黄体期に塩分の多い食事を摂りすぎれば、むくみがひどく出たり、太りやすくなったりします。生理周期を把握して、体の状態に合わせて体調管理をすることで不調を緩和し、効果的にダイエットをすることができます。

生理周期を把握するには、基礎体温をつけるのが近道。生理周期は25〜38日の間であれば、一定のリズムで来なくても、基本的には問題はありません。しかし、生理不順やなんらかの生理トラブルを感じて婦人科を受診するとき、基礎体温を記録していないと不調の要因を検証することはできません。

女性ホルモンが正常に分泌されているかどうかは、14日間の高温期があることの確認により、排卵の有無を確かめます。自分の生理周期を把握するために、基礎体温を記録しましょう。排卵後に上がる体温は0.3〜0.6℃ほどなので、通常の体温計ではなく、小数点第2位まで表示される婦人体温計を使うのがオススメです。体温は目を覚ましてすぐ、動き始める前の横になった状態で、婦人体温計を舌の下に入れて計測してください。生理周期の把握とともに、自分はどの時期にどのような症状が出やすいのかをメモしておくと、生理周期に合わせたセルフケアがしやすくなります」

 

生理後から排卵期の好調期を上手に生かしたフェムテックダイエット。エクササイズや食事の内容を時期によって調整するので、飽きずに、効果を実感しながら続けられそうです。女性ホルモンに寄り添ったセルフケアで心地よい生活を手に入れましょう。

Profile

女性の産業医 / 高尾美穂

女性のための統合ヘルスクリニック、イーク表参道の副院長。産婦人科専門医、医学博士、婦人科スポーツドクター。ヨガ指導者、働く女性の産業医。東京慈恵会医科大学大学院修了。産婦人科外来に携わるほか、女性アスリートのメディカルサポートなどを行う。ヨガを長年愛好し、ヨガドクターとして講座や講演活動にも注力。アプリstand.fmで毎日更新される番組『高尾美穂からのリアルボイス』では、体や心の悩みから人生相談までリスナーの多様な悩みに回答。『生理周期に合わせてやせる! 超効果的フェムテックダイエット』(池田書店)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)ほか、著書多数。

HP= https://www.mihotakao.jp


『生理周期に合わせてやせる! 超効率的フェムテックダイエット』(池田書店)
1540円(税込)
女性の体は生理周期によって毎日少しずつ変化していています。そのサイクルに合わないダイエット法では、効果が出にくい時期があったり体調を崩したりしてしまいます。そこで、生理周期に沿ったダイエットスケジュールを組む方法から、実際のトレーニング法、効果的な食事のとり方までをアドバイス。生理周期を意識することで、自分の身体としっかり向き合うことができます。

 

取材・文=今井美由紀(Neem Tree)