LIFE 健康・美容・仕事・遊び・家事

シェア

面倒な布物を少ない負担でスッキリ洗浄!カーペットとカーテンを
ナチュラル洗剤で大掃除する方法

TAG

年の瀬が近づき、大掃除の季節がやってきました。この機会にスッキリさせたいのが、普段の掃除ではなかなか手が回らない、カーテンやカーペットなど、大きな布物のインテリアアイテム。洗濯機で丸洗いできない場合はどうしたらいいのでしょうか? 手間も、肌や環境にも負担をなるべくかけずにリフレッシュするには?

洗剤の性質や汚れが落ちる仕組みについて化学的にも詳しく、環境にやさしいナチュラル洗剤の講師を務め”ナチュラル掃除”を教える本橋ひろえさんに解説していただきました。

カーテンやカーペットの汚れは
放置すると匂いの原因に!

大ものインテリアアイテムのお手入れをせず、放置したままでいるとどうなるでしょうか?

「食品をこぼしたり、特別に汚したりすることがなくても、インテリアアイテムには、キッチンから流れる油を含む蒸気、ホコリ、皮脂や髪の毛、ペットの毛などの汚れがいつのまにか付着しています。これを放置するとダニやカビのすみかになったり、部屋のイヤな臭いの原因になります」(ナチュラルクリーニング講師・本橋ひろえさん、以下同)

掃除の頻度や、使用する洗剤は?

インテリアアイテムは、どれくらいのペースで掃除すればいいのでしょうか?

「掃除の頻度は、使用する場所や使い方によって変わります。カーテンは、薄手のものであれば年に2回、厚手のものは年に1回は洗いたいですね。カーペットは、週に1〜2回の掃除機がけに加え、月に1度は、アルコールで拭き掃除をしましょう。忘れないでいただきたいのはカーペットの裏。湿気がたまりやすくカビやダニの温床になりやすい場所です。1週間に1度はカーペットをひっくり返して湿気を逃がしてあげられるといいですね。天日干しも効果があります。ソファは週に1回、ホコリなどのごみを取ったり、アルコール拭きをするといいでしょう」

【掃除の頻度の目安】

・薄手のカーテン……1年に2回程度洗う。
・厚手のカーテン……1年に1回程度洗う。
・カーペット……週に1〜2回は掃除機がけ。月に1度のアルコールふき。カーペットをひっくり返して湿気を逃す。
・ソファ……週1回、ホコリとりやアルコール拭き。

■ お手入れ方法の判断

お手入れする前には、必ず洗濯表示を確認することが大切です。

「洗濯表示によって、洗濯機で洗える洗えない、また水が使える使えないが判断できます。特に見ていただきたい表示が、家庭洗濯のマーク。数字は使用できる水の温度を表し、横線が入ったものは、デリケートなものなので優しく洗う必要があります。手のマークは、洗濯機は使用できず手洗いで洗えるもの、×がついているものは家庭で洗濯できない、つまり水を使ってはいけない製品であることを教えてくれています」

出典=政府広報オンライン

■環境への負荷が少ないナチュラル洗剤を使用

「家の中の汚れは、(1) ホコリ・チリ・砂・泥・髪の毛などの洗剤を必要としない汚れ(2) 油・皮脂・食べもののカスなどの酸性の汚れ(3) 水アカ・石けんカス・ペットの尿などのアルカリ性の汚れ(4) カビ・雑菌の4つに分類できます。ホコリや砂は洗剤を使わなくてOK。この汚れを、まずは掃除機やブラシなどで除去します。
その他の3つの汚れに関しては、『重曹・過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)・せっけん・クエン酸・アルコール』でたいていのものが落ちます。これらの洗剤は、合成洗剤と比べ環境への負荷が少ないナチュラルな洗剤です。汚れのタイプに応じて使い分ければ、洗剤を増やす必要はありません」

■ ナチュラル洗剤の選び方

インテリアアイテムで、それぞれの洗剤が使える汚れは以下の通りです。

重曹……油汚れや食品の汚れ、手アカなど酸性の汚れを中和する。カーペットのシミにおすすめ。
酸素系漂白剤……曹と同じく酸性の汚れに効く。重曹より洗浄力が高く、除菌、漂白効果があり、色落ちを気にせず使用可能。水洗いできるカーテンにおすすめ。
せっけん……しつこい油や脂汚れに効く。部分洗い、汚れの目立つところにおすすめ。
クエン酸……水アカやアンモニア臭(時間の経った尿の汚れ)に効果がある。尿などアルカリ性の汚れを中和する。ペットの尿がカーペットについてしまったときにおすすめ。
アルコール……乾きにくい場所の油汚れを落としたいときには、揮発性の高いアルコールを使えば、油を溶かすことが可能。洗えないカーペットのそうじにおすすめ。

見えない油汚れや匂いもスッキリ!
カーテンのお手入れ

調理時の浮遊した油汚れやホコリが付着し、部屋の匂いの原因になりやすいカーテン。そのままにしておくと、窓を開けたときに部屋中にホコリが舞う原因にも。自宅で手洗いできるもの、洗濯機で洗えるもの、コインランドリー、クリーニングに出すべきもの、違いはなんなのでしょう?

「まずは、洗濯表示のタグを確認しましょう。最近は洗えるものも多いです。洗濯機に入れる前に汚れをよく確認し、目立つ汚れはせっけんで予洗いしておきます。自宅の洗濯機でもコインランドリーの洗濯機でも注意点は変わりません。ドラム式の洗濯機を使っている方は、たっぷりの水でしっかり洗える縦型洗濯機のあるコインランドリーを利用するのがおすすめです。
また、カーテンは洗う機会が少ないため、汚さない工夫も大切です。換気扇の掃除を怠っていると、調理時の浮遊した油が外に排出されず部屋に流れ出し、カーテンなど布製品の汚れの原因になってしまいます。換気扇を2カ月に1度は掃除するとよいでしょう。また、窓ガラスが結露しやすい場所は、カーテンにアルコールをこまめに吹きかけておくと、カビの発生を抑制します」

■ 洗濯機不可、手洗い可能なカーテンを洗濯する方法

1.ハンディモップを使ってホコリを払う。

「まずは洗剤の必要のないホコリなどの汚れを、洗濯する前にしっかり落としましょう」

2.しつこい汚れはせっけんで予洗いする。

「カーテン全体の汚れを確認し、目立つ汚れはせっけんで予洗いします。せっけんは、油汚れをはがして落とします。カーテンは、窓の結露でカビが発生しやすい場所でもあります。せっけんはカビにも有効です。過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を使用することで、ダブルの力で落とすことができます。これらの洗剤で落とせない場合には、さらに強力な塩素系漂白剤が必要になりますが、塩素系漂白剤は色ものには使用できないため注意が必要です」

3.過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)につけおきする。

「40度のお湯に、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を溶かし10分つけおきします。過炭酸ナトリウムは、40〜60℃のお湯に溶かして使用すると最も力を発揮します。繊維の奥の汚れにも浸透するよう10分ほどのつけおきが必要です。また、過炭酸ナトリウムはたんぱく質を溶かす働きがあるため、手が荒れやすい人は必ず手袋をつけましょう」

4.水を2回換えてすすぎ、畳んで上から押しながら水を切る。

「汚れを薄めるために、すすぎは2回行いましょう」

5.洗濯機で脱水する。

「畳んだまま洗濯機に入れます。縦型洗濯機の場合は、1〜2分であれば畳んだ形のまま、洗濯機のなかで回転し脱水されます。ネットも、からまり防止のために使用するものなので、カーテンだけ入れる場合にはネットの必要もありません。ドラム式洗濯機の場合は、ネットに入れ、1〜2分脱水しましょう」

6.そのままカーテンレールにかける。

「天気の良い日なら薄手のものは、干さずにそのままかけるだけでOK! 薄いカーテンもそのまま干して乾かしましょう。厚手のものは、しっかり水分を飛ばす必要があるのでタオルケットなどとおなじように、物干しに広げて干します。その際、洗濯表示で陰干しの必要があるかを確認してください」

奥に絡まったホコリや毛をかき出すには?
カーペットのお手入れ

カーペットの汚れの多くは、ホコリやチリ、髪の毛。そして、足裏の皮脂です。ラグであれば、洗濯機で丸洗いできるものも多いですが、洗うのが難しい大判のカーペットはどのように掃除したらいいのでしょうか?

「自宅で洗えるカーペットは、サイズの小さいラグぐらいでしょう。洗濯機で洗える素材でも、洗濯機で脱水をかけるためには洗濯機に入るサイズ、重さのものである必要があります。サイズが大きい場合にはコインランドリーを使うのがおすすめ。大判のカーペットは自宅で洗えないことが多いので、ホコリや髪の毛などをかき出して掃除機で吸い取ったあと、皮脂汚れなどの油汚れを乾いた清潔な雑巾になどにアルコールを吹きかけ、面を利用して全体を拭いて手入れします」

■ 洗濯機で洗えないカーペットのお掃除方法

1.ブラシでホコリをかき出す。

「毛流れの逆方向にブラシをかけ、カーペットのホコリをかき出します。毛が硬めのブラシで、カーペットの中に入り込んだ汚れを出すようにしっかりかきだしましょう。最近では、カーペット専用のブラシも販売され、100円ショップなどで手に入るものもあります」

2.掃除機をかける。

「浮いたホコリや髪の毛は、掃除機をかけて取り除きます。掃除機は、奥から手前に引きながらゆっくりとかけるのがポイント」

3.カーペットを拭く。

「アルコールスプレーを雑巾に吹きかけ、カーペットを拭きます。アルコールには、油汚れを溶解する働きがあるため、皮脂や油汚れを浮かせて拭き取ることができるのです」

■ 食べものや飲みものをこぼしたときの対処法

カーペットに食べものなどをこぼした場合はすぐにキッチンペーパーで汚れを吸わせます。さらに、水をふきかけキッチンペーパーで吸うをくり返し汚れを薄めたあと、重曹水をふきかけ、キッチンペーパーで再度水分を取ります。

「汚れたらすぐに、汚れを吸い出すことが大切です。『汚れを水で薄めて、吸い出す』、これをひたすら繰り返し、しみ込んだ汚れを薄めていきます。このとき、すすぎの必要な洗剤を使ってしまうと今度は洗剤を吸い出すのが大変です。汚れがひどい場合にのみ重曹水を吹きかけ、汚れを中和し吸い出しましょう」

レザーには専用クリーナーを!
ソファのお手入れ

大判のカーペットのように、丸洗いできないソファはどのようにお手入れすれば良いのでしょうか?

「まず、全体にワイパー、または乾拭きを行い、表面の汚れを落とします。レザー製のソファであれば、レザー専用のクリーナーで汚れを落とし、保湿クリームを塗りましょう。布製であれば、洗えないカーペットと同様にホコリなどを除去したあと、アルコールで拭きます」

水洗いできる洗浄機
「リンサークリーナー」とは?

参考=アイリスオーヤマ「ハンディリンサークリーナー RNS-B200D-HW」

リンサークリーナーとは布製品を、水を使って洗うことができる洗浄機のこと。カーペットやソファなど、丸洗いがむずかしいインテリアアイテムをスッキリきれいに洗いたいときに便利です。

例えば、アイリスオーヤマのリンサークリーナーは汚れに水を吹きかけた後、吹きかけた箇所に吸引口を当てると水と汚れを一緒に吸引し、浮かせた汚れを取り除きます。吸引力が優れているので、吸い終えた後も表面はさっぱり。乾いた雑巾を当て、何度も水分を吸わせる必要はありません。ただし、完全に水分は取りきれないので、その後乾かす必要があります。

また、別売りの洗浄剤を使用すれば、油汚れや匂いなど、汚れに適した洗浄力で汚れを浮かせることが可能。40℃までのお湯やアルカリイオン水、重曹なども使用できるので、ナチュラル洗剤でのお手入れも可能です。(使用できない洗剤・溶媒あり)

掃除をする機会が少ない大もののインテリアアイテムだからこそ、さっぱりきれいに掃除が済んだときは、とても清々しい気持ちになるものです。汚れの特徴を知って、適した洗剤を使えば、あれこれ試すことなく少ない洗剤で効果的に掃除をできます。ぜひ、スッキリした気持ちで新年を迎えられるよう、インテリアアイテムの大掃除に挑戦してみてください。

Profile

ナチュラルクリーニング講師 / 本橋ひろえ

北里大学衛生学部化学科(現・理学部化学科)卒業。化学系の企業に就職し、化学事業部で水処理、化学薬品、合成洗剤などの業務を担当。結婚退職後、専業主婦として家事を経験し、子どもがアトピー体質であったこともあり、ナチュラル洗剤を活用するように。その後、ナチュラルクリーニング講師としての活動を始動。全国各地での講座開催や、著書などで、ナチュラルクリーニングの方法を広める活動に力を注いでいる。
Blog

取材・文=加賀美明子(Neem Tree) 撮影=鈴木謙介