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“座る”と“立つ”のハイブリッドが正解!「スタンディングデスク」で叶う、
効率が上がる仕事環境づくり

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在宅勤務など、テレワークが新しいワークスタイルとして定着してきて、あり合わせの物で手当てしていた頃から、自宅での仕事環境を本格的に整える人が増えてきました。そんな環境として注目されているのが、座りっぱなしを防止する「スタンディングワーク」。そして、そのツールとなる「スタンディングデスク」です。後者はその名の通り「立って作業できる」デスクで、腰痛や疲労感の緩和のために開発されたもの。でも、本当に立ったままで、パソコンに向かって集中できるのでしょうか?

そこで、3年前からスタンディングデスクを導入しているというブロガーの鳥羽恒彰さんに、そのメリットや実際の使用感などを教えていただきました。

 

作業環境が整うと身体も整う!

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鳥羽さんが3年前にスタンディングデスクを導入するきっかけになったのは、長時間座っていることへの負担感からだったといいます。

「1日15時間くらいはパソコンに向かって作業しているので、どうしても腰が痛くなったり、首や肩が異常に凝ったりしてしまうんです。凝りを緩和するツールとして、バランスボールやスタンディングデスクが注目されていることは2015年くらいから知っていたのですが、スタンディングデスクは高価なものが多くて、躊躇していました。当時から、前向きな気持ちで作業できるとシリコンバレーで流行していて、日本で注目されるようになったのは、やはりコロナ禍になったことが大きいようですね。3年前に導入したときは、“スタンディングデスクって何?”とよく聞かれましたよ。どういうタイミングで座ったり立ったりするか、使い方はそれぞれですが、体の負担が軽減されていることは間違いないです」(ブロガー・鳥羽恒彰さん、以下同)

 

立つ・座るは作業内容ではなく時間で区切る

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スタンディングデスクの導入でもっとも気になるのは、いったいどういうタイミングで座ったり立ったりしているのか、ということ。鳥羽さんは体の声を聞きながら、2〜3時間座ったら30分くらい立って作業する、という繰り返しで体の負担を軽減しているのだそう。

「午前中は立ったまま作業する、というのを推奨している方もいらっしゃいますが、立ちっぱなしは足が痛くなるので、1時間半くらいが限界でした。僕はメールチェックや頭を使わない作業のときは立つ、というふうに作業内容で区別するのではなく、座りっぱなしで疲れたなと思ったら立つというシンプルな使い方をしています。使用しているスタンディングデスクは、ボタンひとつで記憶させた位置まで移動してくれる機能があるので、“立とう”と思ってすぐに立ち上がれるし、作業を長く中断しなくていいのが気に入っています」

 

スタンディングデスクのメリット5

鳥羽さんがスタンディングデスクを導入して感じたメリットをまとめてみました。

1. 体が楽!

「同じ姿勢を無理にキープし続けなくていいので、首や肩の疲れ方、腰の痛みが分散されて、体がすごく楽になりました」

2. 数cmの移動が首と肩に優しい

「立ち上がらなくても、首の疲れに合わせてちょっと机を下げたり、高くしてスマホ首にならないようにしたりと、ほんの少しの調節ができるのがうれしいです」

3. 気分転換になる

「眠気との戦いになるときや、なんとなく集中力が続かなくなってきたときにも、高さが変わると視界に入る景色も変わるので、気分転換になるんです。そういう意味では効率も上がりました」

4. 写真が撮りやすい

「モノを俯瞰で撮影したいときにデスクを下げると、すごく撮影しやすいんです。仕事柄写真を撮ることが多いので、作業がスムーズになりました」

5. 家族で使える

「家族の身長に合わせて高さ調節ができるので、ひとつの机をみんなでシェアすることができます。また、高くすれば掃除機や雑巾もかけやすくなるので、掃除がしやすいのもメリットです」

 

導入するときに気をつけたい、スタンディングデスクの選び方

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スタンディングデスクの購入を検討するときは、何に気をつけて選べばいいでしょうか? さまざまなスタンディングデスクが登場する中で、好みのものを探せるポイントを教えていただきました。

「スタンディングデスクの導入はおすすめできる一方で、やっぱりネックになってくるのが価格と重さなんです。値段はさまざまありますがどれも安価とは言えず、検討するときに躊躇してしまう部分でもあります。また、僕の使用しているスタンディングデスクは50kgほどあり、ひとりで動かすことができません。重さがあるからこそ、安定していて揺れが少なく作業できるのですが、模様替えや、ちょっと机の位置を変えたいなというときには大変なので、そのことを踏まえて導入するといいでしょう」

1. 電動タイプを選ぶこと

「スタンディングデスクには、手動で高さを変えるものと、電動タイプがあります。価格的には手動の方がお手頃かもしれませんが、電動をおすすめしたいです。手動タイプは、“さあ、立とう”と思ったときにぐるぐるハンドルをまわして高さ調節をしなくてはならないので、その間に集中力が途切れたり、調節が面倒になり“座ったままでいいか”という気持ちになりがち。ボタンひとつで動かせることで、作業を止めずに気持ちよく仕事ができます」

2. デザイン性を考えること

「スタンディングデスクのほとんどはオフィスライクなデザインで、自宅に置くにしてはちょっと会社っぽすぎる……という悩みもあります。僕が使っているスタンディングデスクは可動式の脚だけでも販売しているので、自作した天板と組み合わせています。インテリアに合わせたい方はこちらのスタイルがおすすめです」

3. スタイルに合うかどうか試してみること

「そもそも立って作業することに馴染めなかったり落ち着かなかったり、という方もいらっしゃると思います。まずは立って仕事することが違和感なくできるのか、ということを知るために、他の家具の上などで構わないので、パソコンを高い位置に置いて立って仕事してみてください。高い買い物なので、お試ししてみてくださいね」

 

ヘビーユーザーの鳥羽さんがおすすめする「スタンディングデスク」

ここでは、鳥羽さんがスタンディングデスクを導入する際に検討した商品を紹介していただきましょう。

・導入しやすい価格と小さめサイズのデスク
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フレキシスポット「EG1」
2万5300円(送料込み・沖縄北海道を除く)
「定価で2万5000円ほど、セールだと1万6000円程度と、電動昇降式にしては格安で購入できるのが大きなメリット。天板つきのタイプもありますが、ホームセンターで自分の好きな天板を購入して取り付けることもでき、インテリアに合うスタイルでスタンディングデスクを導入することができます。大きめのデスクが多いなか、こちらはひとり暮らしの部屋にも置けるくらいのサイズです。僕が使っているのは『E3』シリーズという少し大きいタイプなのですが、こちらは今販売しておらず、『E7』シリーズというものがこちらの後継モデルになります」

E7シリーズでは、昇降時に障害物を検知するセンサーが内蔵された他、ケーブルを収納できるトレーが天板下に付属しています。
E7シリーズでは、昇降時に障害物を検知するセンサーが内蔵された他、ケーブルを収納できるトレーが天板下に付属しています。

・10年品質保証つきでシンプルデザイン
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イケア「BEKANT /ベカント デスク 昇降式」(120×80cm)
4万5446円+税
「もともと、これを導入しようと検討していた電動式のものです。イケアで実物を見て買えますし、10年の保証がついているのも安心ですよね。サイズは横幅が160cmのものもあり、天板は黒と木目、白の3種類を選べます。また、以前はイケアの『OLOV/オーロヴ』という伸縮式の脚を購入して好みの天板につけて使っていました。手動式で持ち上げることにはなりますが、ちょっとトライしてみたいという方には安価で使いやすいと思いますよ」

 

今あるデスクをスタンディングデスクにできるアイデア

本格的にスタンディングデスクを導入する前に、スタンディングワークを体験したいなら、まずはこういったアイデアやアイテムを取り入れてみてはどうでしょう?

・卓上型のスタンドを使って、PCだけ高さを上げる

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ビーラボ「MOFT Z」
6346円+税

「折りたたみ式の、デスクの上に置くタイプのスタンド。通常のノートPCスタンドとしても使用できますし、パタンと閉じれば持ち運びもでき、自宅ではなくコワーキングスペースやオフィスなど、机は変えられないけれどスタンディングスタイルで仕事したい、という場所での使用にも向いています」

 

・0円で叶うスタンディングデスク……段ボールや本類で自作する!

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「段ボールや本をデスクに重ねてパソコンを置き、立って仕事することに慣れてみるのがおすすめです。家具は、買ってみたけれど必要なかった……というときとても困るので、手持ちのものをうまく利用してトライしてみてください」

 

体のことを考えるのはもちろんのこと、これからも生産性を上げて快適に働けるよう、自己投資したいもの。集中力が途切れやすい自宅でも、オフィスかそれ以上に、効率を上げて仕事できる環境を作ってみてください。

Profile

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ブロガー / 鳥羽 恒彰

ブロガー、YouTuber。茨城県日立市生まれ福島県郡山市育ちの28歳。千葉商科大学を卒業後、PRエージェンシーに入社。IT企業やスポーツイベントなど10社以上のPR業務を経た後、M&A仲介会社のマーケティング部署の立ち上げから実務を行う。2018年より独立し、「トバログ」として活動する傍ら、雑誌媒体やウェブマガジンにて、ガジェットやモノに関するコラムを多数執筆。ミニマリストの対岸にいる人。
https://tobalog.com/

 

取材・文=吉川愛歩 編集協力=Neem Tree