CULTURE 人・本・カルチャー

シェア

1日10分でエネルギーチャージ!「ごほうび瞑想」で始める瞑想メソッド

TAG

目を閉じリラックスした姿勢で自分自身と向き合う瞑想は、約5000年前にインドで発祥したと言われています。瞑想をすることで、ストレスを軽減したり思考をクリアにしたり、直観力を向上させたりなど、さまざまな効果が得られることから、アップルの創業者・故スティーブ・ジョブスなどの企業家やハリウッドセレブ、トップアスリートなどが日常的に取り入れ、今では広く知れ渡っています。元プロ野球選手のイチローさんも、試合前には瞑想を取り入れていたそう。

瞑想をする上で大切なポイントは、目を閉じて「今、ここに意識を集中する」こと。とてもシンプルですが、実際やろうとすると、頭の中にさまざまな思いや雑念が浮かんでしまい、深い瞑想状態に入ることは容易ではありません。そこで、初心者でも「今、ここに意識を集中する」状態をキープしやすい瞑想方法を、呼吸でメンタルケアをする独自のメソッド「呼吸ヨガ」を生み出し、ヨガ講師としても活躍する平賀きょう子さんに教えていただきました。

 

初心者はまず“楽しいこと”を思い描く

一般的な瞑想は、「心を無にする」「頭に浮かんでくる思考をただ観察する」という状態を保つことで、自分の内側に意識を向けていきます。しかし、余計なことを考えないようにすればするほど、うまくいかない人も多いのではないでしょうか。

「特別な訓練や修行なしで心を無にすることは、難しいと思います。瞑想初心者は、自分の好きなことや幸せに感じることを思い描くことで、まずは自分の思考に集中する状況をつくってみましょう。私はこれを“ごほうび瞑想”と呼んでいます」(ヨガ講師・平賀きょう子さん、以下同)

20190408_meisou_001

 

起床時と就寝時に実践!
喜びに浸る「ごほうび瞑想」の手順

それでは実際に、自分がワクワクすることや幸せに感じることを思い描き、自分自身を喜ばせてあげる「ごほうび瞑想」を行ってみましょう。

「まずは朝と晩に1回5〜10分程度行います。起床時ならば『今日、自分を喜ばせるために、何をしようかな?』と、1日の中で取り入れる喜びポイントを考えてみたり、『今日のランチが楽しみだな』と、その日の予定の中にある自分のごほうびポイントを想像します。就寝前ならば『今日はあのできごとがうれしかったな』と楽しかったことを振り返ります。もし何も浮かんでこなければ『今日は自分を喜ばせることができていないから、今から好きな音楽を聞こう』など、自分のごほうびになることをしてから眠りにつきます。

この瞑想を毎日の生活に取り入れていくと、日常の中にある楽しみに気づいたり、自分自身を大切にすることへの意識が高まったりして、ポジティブな思考でいられる時間が増えるのです。すると、自然と愚痴やネガティブな感情に費やす時間が減ってくるでしょう。また、安眠できるようになり、翌朝の目覚めがスッキリするはずです」

20190408_meisou_002

 

スキマ時間の瞑想に役立つ!
「わたしの幸福リスト」づくり

「ごほうび瞑想」を続けていると、自分が幸せに感じることや楽しいと思うことに気づくだけでなく、過去のハッピーな体験の記憶が呼び覚まされます。それらを書き留め、“わたしの幸福体験”トップ10を思い描く「わたしの幸福リスト瞑想」を、移動中やふとした空き時間に行うのもおすすめだとか。

「リラックスできる音楽を聴くのが好き、ラベンダーの香りの入浴剤でお風呂に入ると幸せ、朝食にフレッシュなフルーツを食べるのが楽しみ……など、自分にとってごほうびになることを想像します。お子さんのいる方ならば、お子さんの好きなところをリストにしておくのもいいでしょう。寝顔が好き、保育園へお迎えに行ったときに見せてくれる笑顔が好きなど。

この、わが子の好きなところをピックアップする瞑想を続けていると、お子さんにイライラしたり叱りすぎたりすることが減ってきます。日常の中で、楽しいことやうれしいことを考える時間が増えるので、体中の細胞が喜び、オーラが明るく変わってきます。オーラが変わると、似たようなタイプのオーラの人が集まってくるのです。気づくと周りに好きな人が増え、人間関係の好転や運気の上昇につながります」

 

こうして聞いてみると、難しく感じていた瞑想の敷居が低くなり、すぐさま実践してみたくなりませんか? まずは、「ごほうび瞑想」を数日間続けてみましょう。そして、ごほうび瞑想の習慣が身についてきたら、次のステップへ。ここからは、より深い瞑想状態を味わうためのコツをご紹介します。

 

【瞑想を極める1】

姿勢や呼吸を整え、深い瞑想状態をつくる

瞑想は、体がほぐれリラックスしている状態で行うのが理想です。ヨガをした後で瞑想を行うのが効果的ですが、ここでは、姿勢や呼吸を整えることで深い瞑想に入る方法を教えていただきました。

 

1.体全体に意識を向ける
20190408_meisou_003
「まずは、首を回して肩を上下に揺らし、首回りをほぐします。次に腰や肩甲骨を開くようなイメージで、背中を丸めます。頭頂から後頭部、首、肩、背骨……など、自分の体の部位を順番に確認するように、意識を向けていきましょう」

2.足裏で地面をつかむ
20190408_meisou_004
「足裏全体を地面に付け、親指の付け根の膨らんだ部分『母指球』と足の指を使って、地面をつかまえるように力を入れます。大地のエネルギーを足裏から吸収するようなイメージです」

3.背筋を自然な状態に伸ばす
20190408_meisou_005
「背中をラクにします。このとき、胸を突き出して反り過ぎたり、下腹部がゆるんだ猫背状態にならないようにしましょう。肩や背中に余計な力が入っていない状態にすることで、体全体にバランスよく瞑想したイメージが届きます」

左)胸を突き出し過ぎ、右)猫背状態
(左)胸を突き出し過ぎの状態、(右)猫背状態

4.頭を上に引き上げて目を閉じる
20190408_meisou_007
「首の後ろ側が長くなるように伸ばします。顎を引きすぎてしまうと頭が下がるので、眉間と後頭部を前と後ろでサンドイッチするように引き上げます。頭のてっぺんから細い糸でやさしく引き上げられているようにイメージするといいでしょう。目を閉じてイメージを深めます」

5.口元をゆるめてポジティブな意識のため息を吐く
20190408_meisou_008
「目を閉じたら口元をゆるめます。上下の歯を離して、喉の奥をゆるめて、『ハーッ』と声を出しながら息を吐きます。温かいお風呂や温泉に入ったときの心地よい状態をイメージして、ため息を感じてみましょう」

6.顔全体をゆるめ呼吸する
20190408_meisou_009
「頬をゆるめ、まぶたがふんわりとやわらぎ、眉を少し左右に離して眉間を広げ、額も広げるようなイメージをしてください。ゆるんだ眼球が後頭部の後ろの方に沈んでいくような感覚を味わいます。頭頂は軽くタッピングするようにマッサージした後のやわらぎがあり、頭のてっぺんから空を見上げているようなイメージで。顔の表情をやわらかくしたまま喉の奥をゆるめたまま、ゆっくりと息を吐き、ひと呼吸します。鼻の奥の方からゆっくりと息を吸って頭頂が上に引き上げられていくような感じで、高い空を感じてひと呼吸。おだやかな少しゆったりとした呼吸を感じながら、瞑想に入っていきます」

オンラインフィットネスサービス「RIATRE(リアトレ)」
https://www.riatre.jp
平賀さんの瞑想レッスンや呼吸ヨガ®の無料レッスンも受講可能。スマホやiPad、PCなどからアクセスすれば、平賀さんとリアルタイムでつながることができます。

 

【瞑想を極める2】

イメージするから実現する…瞑想で願いを叶える

瞑想をすることで得られる効果はイライラを鎮めたり、自分らしい心地よい状態にリセットするだけではありません。続けていくと、必要な情報を選び取る力や感覚が研ぎ澄まされ、直観力が冴えてきます。さらに、夢を実現したいときに瞑想をすれば、願いが叶いやすくなると、平賀さんは言います。

「夢は、諦めなければ必ず叶うものだと信じてください。諦めてしまうから、叶わないのです。自分はできないと思ってしまいそうなときや、諦めてしまいそうなときこそ瞑想をしましょう。瞑想中に、なりたい自分や夢をありありと想像します。体の細胞すべてに、そのイメージを行き届かせるような感覚で、強く深くイメージしてくださいね。すると、夢の実現に向けて背中を押してくれるサポーターに出会えたり、友だちからの誘いに乗って遊びに行った先で、夢に近づく思わぬ情報を入手できたりといった、シンクロニシティが起きやすくなります」

20190408_meisou_010

 

常にたくさんの情報を浴び、忙しく過ごしていると、毎日があっという間に過ぎていきます。気づくと疲れが蓄積されていた、ということもあるのではないでしょうか。そこで、入浴や歯磨き習慣のように、また、掃除で汚れを落とすような感覚で日常の中に瞑想を取り入れることで、頭と心のセルフクリーニングをしましょう。まずは「ごほうび瞑想」からスタートして、ワクワクする気持ちを味わう時間を増やしてみましょう。春からの新生活がきっと充実してくるはずです。

Profile

20190408_meisou_prof

ヨガ講師 / 平賀きょう子

シャンティ・アソシエーション株式会社代表取締役、一般社団法人ユース・レジリエンス研究所代表理事、呼吸ヨガ®」の創始者、東京都板橋区立学校運営連絡協議会委員、米国NLP™協会認定プラクティショナーという肩書きを持つ。ヨガスタジオ「スタジオシャンティ(日本橋スタジオシャンティ)」の運営のほか、ヨガ指導者の育成、小学校、高齢者施設、心療内科などでのヨガ指導に力を注いでいる。『日本経済新聞』、『日経ヘルス』『日経ウーマン』(日経BP社)、『anan』(マガジンハウス)ほか、執筆記事多数。著書に『息をするたび、心と体が整う 呼吸がすべて』(オレンジページムック)がある。
http://www.kyoko-yoga.com

 

取材・文=今井美由紀(Neem Tree) 撮影=泉山 美代子