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困難な時代をどう生きていく?工藤勇一先生が教える“自律”のヒント
第3回「大人の言うことにこだわりすぎない。」

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「みんな一緒」に経済成長できる時代は終わり、多様な文化を認めながら自身で考えて答えを導く、いわば「自律」の力が求められる時代。自分はいったい何がしたいのか、どう生きていくのか? 子どもも大人も、当事者意識を持つことが求められるようになったのです。

学校にはびこる“当たり前”を撤廃し、自律型教育を進める横浜創英中学・高等学校校長の工藤勇一先生。著書『きみを強くする50のことば』(かんき出版)には、子どもも大人も知っておきたい自律のヒントがたくさん詰まっています。これからの時代に必ず役立つ、工藤先生のことばをお届けします。

大人の言うことにこだわりすぎない。

「いいから、言うことを聞きなさい!」

今子どもの人も、昔子どもだった大人も、一度は言われたことがあることばではないでしょうか? 大人でも子どもでも、目上の人の言うことを聞いて従っていれば怒られないし、ラクですよね。

私が教育の現場で実感したのは、今の子どもたちがどんどん従順になっていることです。従順で温厚な性格なので、先生や親に逆らいません。学校のルールはしっかり守りますし、事実として全国的に少年犯罪も減少しています。

しかし、従順であればあるほど、自分で考え、自分で判断し、自分で決定して、自分から行動する“自律”からは遠ざかってしまうのです。そんな従順な生徒のまま大人になるとどうなるでしょうか? 誰かに決定権を委ねる、ちょっと卑怯な大人になってしまうかもしれません。

たくさんの経験をしてきた大人の言うことが正しい時もあります。けれど、すべてが正しいわけじゃない。これは、大人に反抗しろということではありません。大人でも子どもでも、言われたことに対して自分がどう思ったか、どうしたいか、自分の頭で考えてみてほしいんです。

これからは、どれが正解かわからない時代がやってきます。そんな時、頼れるのは自分自身。自分考えて、判断できる力を身につけて、行動できる自律力を鍛えていきましょう。

『きみを強くする50のことば』(かんき出版)
「どうしたら、すてきな大人になれるだろう?」___やさしい絵と、心に響く50の言葉が並ぶ本書は、絵本のようでいて、大人でもハッとするような人生のヒントが満載。「自分をきたえるヒント」「人とつながるヒント」「学ぶときのヒント」「挑戦するためのヒント」「楽しく生きるヒント」の5つの切り口から紹介されている。

Profile

横浜創英中学・高等学校校長 / 工藤勇一

1960年山形県生まれ。山形県と東京都の公立中学校の教員を務め、東京都や目黒区、新宿区の教育委員会へ。2014年から千代田区立麹町中学校の校長になり、宿題なし・テストなしなど「学校の当たり前」を見直し、子どもたちの「自律」を育んでいくことに注力。これらの取り組みはさまざまなメディアでも紹介されている。2020年4月より横浜創英中学・高等学校校長に就任し、さらなる教育改革に取り組んでいる。
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取材・文=つるたちかこ 撮影=泉山美代子