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家でワインを楽しむための蘊蓄講座ワインの世界を旅する 第8回
―南米チリと5つの産地―

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2. セントラル・ヴァレー地域マイポ・ヴァレー
チリワインの“約束の地”プエンテ・アルト −

マイポ・ヴァレーは首都サンティアゴの南に広がるワイン産地で、首都に近いことから、古くからブルジョワ階級が広大なブドウ畑を所有していたワイン産地です。チリ最大級のワイナリーであるコンチャ・イ・トロもそうした大規模な自作農がルーツであり、所有する9000ヘクタールという広大なブドウ畑から自然と優れた畑が、時間をかけて選別されるようになりました。そしてカベルネ・ソーヴィニヨンにもっとも適した土地として認められたのが、サンティアゴからほど近いプエンテ・アルトです。1987年に初ヴィンテージがリリースされたコンチャ・イ・トロのプレミアムワインである「ドン・メルチョー」をはじめとしてチリを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンはすべて、プエンテ・アルトから生まれているのです。

「安くて美味しい」というイメージが日本では先行しているチリワインですが、それはなによりチリが、世界を見渡してもブドウ栽培に最適の国であることの証でもあります。安定した地中海性気候のなか、日々豊かな陽光に恵まれ、唯一の欠点は夏に雨が降らないことくらい。アンデス山脈の雪解け水は、古くから農業に利用されてきました。

そんなチリの恵まれた環境に、ヨーロッパの歴史と経験が持ち込まれたワインが、写真の「アルマヴィーヴァ」です。ナパ・ヴァレーのオーパス・ワンが、モンダヴィとシャトー・ムートンのジョイント・ベンチャーとして生まれ、カリフォルニアを代表する銘醸ワインに育ちましたが、チリでは1998年にコンチャ・イ・トロとシャトー・ムートンの協力のもと、このワインが生まれました。そしてやはり、ブドウの供給地として選ばれたのは前述のプエンテ・アルト。世界でブドウ栽培に最も適した産地として注目されているチリのなかでも、選び抜かれた“約束の地”の味わいを想像してみてください。ムートンやオーパス・ワンに劣らない、素晴らしいワインを産み出すポテンシャルがチリにはあることを、多くの人に知ってもらいたいと思います。

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Concha Y Toro&Baron Philippe de Rothschild(コンチャ・イ・トロ&バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド)
「Almaviva2017(アルマヴィーヴァ2017)」
実勢価格2万5000円前後