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家でワインを楽しむための蘊蓄講座ワインの世界を旅する 第8回
―南米チリと5つの産地―

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3. アコンカグア地域アコンカグア・ヴァレー
− 冷涼な沿岸部で生まれるチリ最高のピノ・ノワール −

南北に長いチリのワイン産地の多くは、東西を流れる河川を軸に“〇〇ヴァレー”といった呼び方をされてきました。そこに東西を区切る概念がラベル表記されるようになったのは、2011年のこと。東のアンデス山脈側(Andes)、アンデスと海の間中央部(Entre Cordilleras)、海側(Costa)と分けて考えられるようになったのです。

アコンカグア・ヴァレーは首都サンティアゴの北西、アンデス最高峰のアコンカグア山を背景に、海へ流れ込むアコンカグア河流域に広がるワイン産地。19世紀後半に、多くのワイナリーがサンティアゴ周辺に畑を開拓するなか、チリの大手ワイナリーのひとつであるエラスリスは、ここでブドウ栽培を始めました。当時は交通の便も悪く、荒れた土地だったアコンカグアはブドウ栽培に適した土地とは見なされていませんでしたが、エラスリスの創業者ドン・マキシミアーノは、山から海岸に吹き降ろす風と海の空気を河口から吹き上げてアンデスの斜面を冷やす風に目を付け、この地を選びます。

現在、海から10数kmまで広がる畑“アコンカグア・コスタ”は、ニュージーランドのマールボロと比較されるほどの冷涼さを持ったワイン産地として知られるようになりました。写真の「ラス・ピサラ」は、アコンカグア・コスタのなかでもとくにピノ・ノワールやシャルドネに向く区画を選び抜き、2014年に初めてリリースされたプレミアムワインです。世界中のさまざまな産地で、ブルゴーニュに匹敵するピノ・ノワールを生み出そうとする機運は高まるばかりで、チリもその例外ではありません。ブルゴーニュ好きの方にも試してみてもらいたいワインのひとつです。

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Errazuriz(エラスリス)
「Las Pizarras Pinot Noir2015(ラス・ピサラ・ピノ・ノワール2015)」
実勢価格1万3000前後