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お気に入りを捨てずに部屋を整えるには?フランス人に学ぶ
片付けのルール

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部屋を片付けるとき、不要とわかっていても捨てられずに悩んでしまってなかなか進まない、ということがありますよね。そんなとき、実用的でなくても捨てずに楽しめるアイデアがあればいいのに……。

そこで今回は、『フランス流 捨てない片付け』(小学館)の著者で、フランスで暮らした経験のあるイラストレーターの米澤よう子さんに、より快適に過ごせるよう部屋を整える方法を教えていただきました。フランスでは、使い方や見せ方を変える工夫をしたり、実用的でなくても飾りに使ったりしながら、モノを捨てずに片付ける人が多いそう。デコレートの仕方を見習って、パリジェンヌのような素敵な部屋で過ごせたらいいですよね。

 

「いらないものは片付ける」ことが基本のフランス

フランスと日本の文化の違いはさまざまなところにありますが、食文化をとってみると、片付けに対する認識の違いに気がつくのではないでしょうか。「フランスでは、料理を食べ終えたら次のお皿が出てくる、という仕組みで食事が進んでいきます。ですから家庭でも、食べ終わったお皿がいつまでも食卓に残っていることがありません。普段の片付けも同じように“終わったもの”“使用済みのもの”“いらないもの”は目の前から外す、ということが習慣的に行われているように思います」(イラストレーター・米澤よう子さん、以下同)

 

どこから片付けるか悩んだら“S席”をつくること

クローゼットは洋服でいっぱい、玄関は靴だらけ……など、いざ片付けようと思っても、どこから手をつけたらいいかわからないという人は少なくないでしょう。そんなときは、見えない収納棚などは先延ばしにして、もっとも目につき手の届く範囲から始めてみましょう。

「片付ける範囲が広くなっていろいろな場所に及ぶと、結局どこも中途半端で終わってしまうことがあります。まずは普段自分がよく座る場所を、観劇のときのシートのように“S席”と考えてみましょう。そしてS席のそばや、S席に座ったときに見えるものから片付け始めます。寄せたり布をかけたり、ひとまとめにしてカゴに入れるだけでも十分です。はじめは本当に片付かなくても、片付いたようにきれいに見えればよいので、そこだけをきれいに保てるよう心がけてみましょう。それ以外の部分は、次のステップで考えます」

1 ごちゃごちゃした書類や手紙は揃えてひとまとめにする
2 こまごまとした文具や雑貨類はお菓子の空き箱などに入れて隠す
3 うまく飾れないオブジェなどはいったんダンボールなどに入れて収納する
4 どこに置いたらよいかわからないものは別の部屋に移動させる

 

捨てるか悩んでしまうものは一時的に保管すること

S席周辺がきれいに片付いてくると、それだけでも気持ちよくいられることがわかるでしょう。そうなると、他の部分が目についてくるものです。

「次は、その目についたところから少しずつ着手していきましょう。とりあえずと思ってひとまとめにしておいた書類はどうするか、積んだままの雑誌はすべて必要か、ひとつひとつ見ていきます。布で覆ったものや別の部屋に移動したりしたものなどは、不要であれば捨てるという選択肢もありますが、季節のものや、まだ使うかもしれないと思うものはしまっておきましょう。また、捨てるかどうするか悩んだものは、玄関に近い場所に一時的な保管場所をつくり、そこに置いてみましょう。ゴミの日が来たとき、ふと捨てようと思えるかもしれませんし、捨てられないとなれば、実用的でなくても持っておきます」

 

ウィンドウショッピングでディスプレイを学ぶこと

部屋に置いておきたいものが決まったら、今度はそれをどのように置くか考えてみます。パリジェンヌ流の片付けは、部屋にあるものを“お店のようにディスプレイする”という考え方が特徴的。「普段からアートに触れる機会の多いパリジェンヌだからこそのセンスもありますが、日本でもショーウィンドウや、お店の商品の並べ方はとても参考になります。モノが多かったり雑多だったりしても、ディスプレイする意識を持って整えることで、片付いた印象を与えることができます」

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ウィンドウディスプレイのように部屋を片付ける6つのアイデア

それでは具体的にどのようなことに気をつけてディスプレイすれば、整った部屋に見せられるのか、テクニックを聞きました。

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1. 色別に分ける
ものを置くときや本棚に本を並べるときなど、何となくごちゃごちゃして見えるのは、色数が多いことが挙げられます。「いちばん簡単で見栄えがよくなる方法は、色で分けることです。雑貨を飾るときも、同系色でまとめておくとすっきりします。冷蔵庫の中身や靴なども色別になっているときれいでしょう」

2. 見た目のかさを減らす
バラバラしていたり、ものがたくさんに見えたりするのは、揃って置かれていないからかもしれません。「たとえば洋服も、お店にあるようにピシッと同じハンガーにかけるだけで、数が多くてもきちんとしたように見えるものです。どのように置くか迷ったら、縦や横のラインを揃えてみましょう」

3. ルールをつくって揃える
トイレや玄関、窓枠などのちょっとしたスペースにお気に入りの雑貨をディスプレイするとき、置き方に困ったらルールをつくってみましょう。「オブジェを背の順に並べたり、山のラインで整えたり、シンメトリーなどのルールに沿って置くと、しっくりと馴染むでしょう。また、クリスタルやガラスのものは夏に、刺繍や布のものは冬に、などと季節に合わせてオブジェを入れ替えるのもおすすめです」

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4. くたびれたものは隠す
いつも使うからといって、黒ずんだフライパンや毛羽立ったキッチンタオルなどを出しておくのはやめます。「捨てなくてもいいので、経年して汚れているものは使ったらしまう癖をつけましょう。あくまでも外に出すものはディスプレイするためのもの、と位置づけしておくと、自然としまうものと出すものがわかってきます」

5. 全部がチープにならないよう一点だけ豪華にする
部屋のディスプレイに使うものは、100円ショップなどでも揃えることができます。ただし、全部を安価なもので揃えてしまうと、どうしても部屋全体が安っぽくなってしまうものです。「リーズナブルな雑貨をディスプレイに取り入れる場合は、一点だけアンティークのものや高価なものを混ぜておくと、全体が引き締まります」

6. 洋服はシーンや色別で揃えると整う
洋服の収納をするとき、ありがちなのはトップスとボトムス、下着、などとその種類で分けて入れる方法でしょう。ところがそれを使うシーンや色別で分けると使いやすく、見た目にもごちゃごちゃしないそうです。「オフィス用、プライベート用、というくくりで収納すると、いろいろな引き出しを開けて探さなくてもよくなりますし、色別だと引き出しごとに統一感が出てすっきりします。アクセサリーや靴などもこの要領で分けてみましょう。パリジェンヌは、昼夜のお出かけで服装を変えることが多いので、昼用と夜用で分けることもあります」

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実用的でなくなったものや飽きたものは新しい使い方を考えること

日本では、近年捨てて片付けるという方法が主流になっていますが、フランスには使い方をアレンジして大切に使うアイディアに溢れています。「片付けるにはモノを捨てるのがてっとり早いかもしれません。しかしモノには大なり小なり思い出があり、どんなモノも自分の働いたお金で買った大切なモノですよね。もう着られないとか使わないという実用的な観点だけでなく、ディスプレイに使えないか考えてみましょう」

1. 使わなくなった洋服やアクセサリーは飾る
体型や趣味が変わって着られなくなった洋服も、素敵にディスプレイできないか考えてみましょう。「そのままハンガーにかけて寝室にちょっと飾っておくと、かわいいディスプレイになりますし、アクセサリーは瓶に入れたりぶら下げたりするだけで華やかなイメージになります」

2. 飽きてしまったコーヒーカップはソーサーをチェンジ
実際にパリのカフェで行われている、コーヒーカップのソーサーをチェンジするアイデアはかわいらしくておすすめです。「コーヒーカップに付属のソーサーを使うのではなく、ソーサーだけを入れ替えると、なんだか違った食器に見えるから不思議です。いつものコーヒーカップも新しい感覚で使えるでしょう」

3. 壁に飾る
ポストカードやかわいい包装紙は、壁のディスプレイに使ってみましょう。「包装紙は額に入れて飾ったり、空き箱に貼ってアートボードのようにしたりしてもかわいいですよ。ポストカードは部屋の天井が高く、部屋が広く見えるよう、高さを出して飾るのがおすすめです。また、小さな鏡をいくつか隣り合わせにして壁に飾り、大きく姿が見えるようにするアイデアもパリで学びました」

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パリジェンヌの買い物は“たくさん買わない”

パリジェンヌは、多くを見て少なく買うという印象があるほどウィンドウショッピングが好きで、「ウィンドウを舐める」という言葉もあるそうです。「新しく買わなくても、自分が持っているものでうまくコーディネートする習慣があります。また、人と比べたりせずに自分が楽しくなれるものを購入する、という感覚がはっきりしています。気にいったものだけを買う癖をつけておくと、すぐに不要になることが減り、捨てるものが少なくなりますし、モノが寿命を迎えるまで大切にできるのではないでしょうか」

 

モノとの向き合い方をパリジェンヌから学ぶことで、ただ部屋を片付けるだけでは得られない、自分好みの部屋で過ごす時間を楽しんでみてはいかがですか。

Profile

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イラストレーター / 米澤よう子

グラフィックデザイナーとして広告制作会社に勤務後、イラストレーターとして独立。化粧品パッケージや広告キャンペーン、女性ファッション誌、CMなどで活躍。2004年から4年間はパリを拠点に移し、高級百貨店Le Bon Marché(ボン マルシェ)での個展開催など多彩な活動を行う。現在はパリ在住の経験を生かした著書、商品企画、フレンチブランドとのコラボレーションなど、さらに活動の幅を広げている。著書に『パリ流おしゃれアレンジ!』シリーズ(KADOKAWA)、『パリジェンヌ流シンプル食ライフ』『ねことパリジェンヌに学ぶリラックスシックな生き方』(文藝春秋)など多数。

 

取材・文=吉川愛歩 イラスト=米澤よう子 構成=Neem Tree