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ワイン好きに提案したい魅惑のペアリング「スイーツ×甘くないワイン」
で作る、組み合わせの妙味とは?

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ワインとスイーツのペアリングは、最近メディアでもよく取り上げられるテーマであり、ワインバーやパティスリーのメニューでも頻繁に見かけるようになりました。そこでチョイスされるワインは「甘口」のものが多く、また実際、スイーツに合う甘口ワインはたくさんあるのです。

しかし、「スイーツが大好きで、ワインも好きなんです」と、「ワインが大好きで、スイーツも好きなんです」は、少しニュアンスが異なると思いませんか?

たしかに「スイーツ好きな人は甘口ワインが好き」だと思いますが、ワインが好きでスイーツも好きというワイン愛飲家は、果たして甘口ワインを好むのでしょうか? 無論、たまに飲む甘口ワインは格別なもの。ですが日常的にワインを楽しむ愛飲家にとって、スイーツ好きだからと言って甘口ワインばかり飲むことはまれでしょう。やはり日常的には、辛口のスパークリングワイン、白ワイン、軽め・重ため・渋めの赤ワインなどこそ、飲み慣れた味わいのはず。

では、もしそれらのいつも親しんでいるワインにスイーツを合わせることができるとしたら……食卓が一層華やかに、ワインライフも一段と奥深く楽しむことができるのではないでしょうか。

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今回はそんなワイン好きのための「甘くないワイン×︎スイーツ」のペアリング例を、数人のワイン愛飲家さんとともに実食を体験しながら考えてみました。

 

1.日本の微発泡ワイン×わらび餅

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【ワイン】「カーブドッチワイナリー・ペティアン・キャンベル 2018」

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【スイーツ】わらび餅

まず冒頭から結論を。今回のペアリングのすべてに共通していた重要なポイントは、スイーツとワインの“食感”でした。食感のトーンを合わせることによって、味わい以上に相性の良さを感じることができたのです。

餅系和菓子の多くの食感は、“もちもち”や“とろり”。ワインも口に含んだ時に、角のない柔らかな味わいのものということで、日本の生食用ブドウ品種キャンベルを使った、さらには酸化防止剤無添加の微発泡ワイン(ペティアン)を合わせました。

生食用ブドウが原料のワインは、最近日本ワインに多く見られますが、ワイン用ブドウよりも私たち日本人にとってはどこか懐かしい柔らかな印象の味わいが特徴的。これまで一般的には歓迎されなかった個性も、醸造家の経験、技術の進化とともに新たな魅力を放つワインのジャンルとして注目されています。そしてやはり和食とのペアリングは、まだまだ多くの可能性を秘めています。

このペティアンはやや濁りもあり、液体とはいえ若干の食感がワイン自体にも感じられるところが、わらび餅にベストマッチでした。わらび餅に限らず、大福や団子など餅系の和菓子には全般的に合うのではないでしょうか。

 

2.イタリアのプロセッコ×チーズケーキ

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【ワイン】「ゾーニン・プロセッコ NV」

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【スイーツ】ベイクドチーズケーキ

チーズケーキの原料はチーズなので、ワインに合わないわけがありません。ですが、チーズケーキにもレアチーズ、ベイクドチーズ、スフレタイプのものなど、さまざまあります。それぞれの食感や風味によってあれこれ合わせることができるのも、チーズケーキペアリングの魅力です。

今回は、重すぎないベイクドタイプ。密度が高いチーズケーキを口の中でホロホロと溶かすように、しっかりとした泡立ちのスパークリングワイン、プロセッコを合わせました。

プロセッコは、北イタリアでグレラ種というブドウを使って造られるスパークリングワイン。プロセッコを名乗るには生産地域が限定されており、さらにグレラ種の使用比率も決められています。アロマティックでフルーティーなこのグレラ種の特徴を活かすために、大きなタンクで二次発酵をさせることも規定とされています。チーズケーキに合わせるのに、シャンパーニュではなくあえて手頃なプロセッコを合わせた理由がこれ。シャンパーニュは、ボトルの中で二次発酵を行うことで、フルーティーさより酵母などの風味と複雑さが加わり、泡も繊細になりますが、それに比べ、プロセッコのはつらつとしたフルーツ感はスイーツに合わせやすく、しっかりとした泡立ち。この泡が、硬さのあるベイクドチーズケーキを溶かすかのような食感を感じさせました。

 

3.オレンジワイン×︎ミルフィーユ

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【ワイン】「アレクシャンドレ・レウヴァス・アート・テッラ・クルティメンタ 2017」

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【スイーツ】ミルフィーユ

お馴染みの白ワイン、赤ワイン、ロゼワインに加えて“第4の色”とも言われる、最近注目のオレンジワイン。一般的な白ワインの製法は、収穫後のブドウから皮と種は取り除かれ果汁だけが発酵されます。これによって、私たちがよく知る透明感のある白ワインに仕上がるのですが、一方のオレンジワインは、白ブドウまたはグリ(灰色)ブドウを、黒ブドウで赤ワインを造るのと同じように果汁を皮や種とともに一定期間浸漬させながら発酵させるため、複雑な旨味と独特の色合いが抽出されるのです。

皮や種由来の苦味やタンニン分をよりいっそう感じられるのが、オレンジワイン。食感は“もちもち”や“さらり”よりも、少しフックの効いた“サクサク”“パリパリ”といったクリスピーなトーンのスイーツに合いそう。

ということで合わせたのはミルフィーユです。ミルフィーユのサクサク感と、さらに焼けた風味もオレンジワインの心地よい苦味のトーンに合っていました。他にも、焼き菓子、揚げドーナツなどにも合いそう! という声も。

 

続いて、赤ワインにはどうでしょうか? フルボディ、ミディアムボディ、スパイシーなタイプ、さらには赤スパークリングとのペアリングを考えてみましょう。