FOOD グルメ・レシピ・クッキング

シェア

家でワインを楽しむための蘊蓄講座ワインの世界を旅する 第6回
―ニュージーランドと5つの産地―

TAG

4. セントラル・オタゴ
− 世界最南端のワイン産地で完熟するピノ・ノワール 

ニュージーランドの中心都市・クイーンズタウンには、南半球でも最高といわれるスキー場があり、四季折々の雄大な自然は、ニュージーランドを代表するリゾートタウンとして知られています。そして、この地域がワイン生産に向いていることは、19世紀末から知られていました。

1881年には、オーストラリア・シドニーで開催されたワイン品評会で、セントラル・オタゴ産の「バーガンディ」が金賞を受賞した記録が残っているほどですが、やはりニュージーランドの他の産地同様、一度ブドウ栽培は途絶え、本格的に再開されるのは1970年代に入ってからのことでした。このように「ブルゴーニュ」の英語読みであるバーガンディというワインが造られていたことからもわかるように、主流はピノ・ノワールですが、再びこの産地に注目が集まるまでには、そこから100年以上の時間がかかりました。

1997年に初めてリリースされた「フェルトン・ロード」は、評価誌から高評価を獲得、瞬く間にピノ・ノワールの未来を担う産地としてセントラル・オタゴが注目されるようになりました。短い夏の寒暖差、収穫期の乾燥は、素晴らしいピノ・ノワールに必要な長い生育期間をもたらし、驚くほどピュアな果実味と複雑さ、エレガントさを兼ね備えたワインを産みだします。それでは“マーティンボローとどちらが優れたピノ・ノワール産地なのか?”という議論が起こりますが、全体的にブドウの樹齢はセントラル・オタゴの方が若く、その答えは現在進行形で簡単には決着しそうにありません。

ただ、日本の多くのワイン愛好家がブルゴーニュを偏愛している様子を見るにつけ、マーティンボローとセントラル・オタゴのピノ・ノワールに、もっと目を向けてもいいように思えます。それはヴォーヌ・ロマネとジュブレ・シャンベルタンの相違と同じように、魅惑的なテーマでもあるのです。

20210625_atLiving_wine-newzealand_004
Felton Road(フェルトン・ロード)
「Pinot Noir BannockBurn2015(ピノ・ノワール・バノック・バーン2015)」
7200円
輸入元=ヴィレッジ・セラーズ