夏が過ぎ、疲れの蓄積から秋バテを感じはじめる人も増える季節。疲れが溜まると「夜、湯船にお湯を張る元気すらない……」と、ついシャワーだけで済ませてしまう日もありますよね。
単に「体を洗い流す作業」になりがちなシャワータイムも、少し工夫するだけで、全身をすっきり整え、心地よい眠りへとつなげる「セルフケア時間」へと生まれ変わります。
今回は、お風呂と眠りの専門家であり、300種類の高機能シャワーヘッドを試した小林麻利子先生にお話を伺いました。バスタイムとシャワータイムが美容や健康、睡眠にもたらす効果や、今日から試したくなる具体的なシャワーテクニック、さらに最近注目の「高機能シャワーヘッド」の使い方や選び方まで、ご紹介します。
忙しい毎日でもあきらめない!バス&シャワータイムを最高のセルフケア時間に

はじめに、バスタイムとシャワータイムが美容や健康、睡眠にもたらす効果を小林先生に伺いました。
お風呂でセルフケアのポイントは「血流」
「バスタイムやシャワータイムで美容や健康を叶えるために重要なカギとなるのが、『血流』です。入浴によって皮膚血流が増加することで、肌を健やかに保つことにもつながります。また、睡眠の質を高めて、翌朝ツヤツヤの肌で目覚めるためには、湯船で深部体温を上昇させ、入浴後に低下するという『体温のメリハリ』が欠かせません。自然な眠気や入眠につながりやすくなります。全身の血流を効率よく循環させ、深部体温を上昇させるという点では、やはり『湯船に浸かること』に勝るものはありません。
私たちの心臓は、安静時でも約1分間で全血液量に相当する血液を送り出しています。湯船に浸かると皮膚血流が増え、温められた血液が全身を巡ることで、身体を効率よく温めることができるのです。美容のために高級なエステに通うのはハードルが高いですが、自宅のお風呂は、毎日できるセルフエステ空間なのです」(小林麻利子先生、以下同じ)
しかし、時間も体力もない日は「風呂キャンしたい……!」と思うときもあるはず。シャワーだけの日でも効果はあるのでしょうか?
「もちろん最優先は湯船に浸かることですが、シャワーだけの日でも、浴び方やシャワーヘッドの機能を工夫することで、温かさや心地よさ、美容面でのメリットを高めることができます。疲労が蓄積しやすい週の真ん中の『水曜日』と、新しい1週間に備える『日曜日』の夜だけはしっかり湯船に浸かってリセットする。それ以外の忙しい夜は、高機能シャワーヘッドの力を借りて手軽にリフレッシュする、といった使い分けをしてもいいですね」
脳をリラックスモードに切り替えたいときは「暗闇シャワー」

最近、海外のSNSなどで注目されているのが、浴室の電気を消してシャワーを浴びる「暗闇(ダーク)シャワー」です。これは、小林先生が以前から提唱されている「お風呂を薄暗くして入浴する方法」にも似ています。
「暗闇シャワーはとても良いと思います。実は、日本の住宅の浴室照明は、転倒などの事故を防ぐためにかなり明るく設定されています。しかし、寝る前に強い光を浴びると、睡眠を促すホルモン『メラトニン』の分泌が抑えられ、寝つきに影響する可能性があります。照明を落とし、薄暗い空間でシャワーを浴びることで、就寝前の強い光を避け、眠りに向かいやすい環境をつくることができます」
ただし、安全面からは注意が必要なことも。
「暗くすると足元が見えにくくなり転倒のリスクが高まるため、安全には十分に配慮して行いましょう。また、雰囲気作りのために浴室内に直接ライトを持ち込むと、感電などの危険も。脱衣所から間接照明を当てたり、防水性のあるお風呂用ライトを使用したりすると安心です」
シャワーだけで美容&睡眠ケア。効果を高めるシャワーの浴び方

続いて、シャワータイムで美容・健康と睡眠の効果を最大限に引き出すポイントを伺いました。
シャワーを浴びるタイミングは「就寝の30分前」
「湯船に浸かる場合は、体温がしっかり上がったあとゆるやかに体温が下がってくる『就寝の1時間〜1時間半前』にお風呂から上がるのが理想です。一方、シャワー浴は全身浴に比べて深部体温の上昇が小さいため、寒い季節は就寝の30分ほど前を目安に浴びるのがおすすめです」
温度設定は「40度未満」のぬるめで
「シャワーの温度は、『ちょっとぬるめだけど、心地いいな』と感じる38〜39度前後を目安にしましょう。熱すぎるお湯は、皮膚のバリア機能に影響し、肌や頭皮の乾燥につながることがあります」
上がったあとは「環境メイキング」を
「シャワーを浴びた後に部屋が蒸し暑く、汗をかき続けてしまうと深部体温が下がりにくくなります。あらかじめ寝室の温度・湿度を季節や寝具に合わせて快適に整えておき、シャワー後も汗をかき続けないよう、心地よく過ごせる環境をつくりましょう」
足元の冷え対策も大切
「シャワーだけで済ませる日に気をつけてほしいのが『足元の冷え』です。シャワー浴は全身浴に比べて身体が温まりにくいため、特に足元の冷えが気になる方は、足湯をしながらシャワーを浴びるなど、末端を温める工夫を取り入れてみましょう。お腹に温かいタオルを当てておく、といった冷え対策も取り入れてみてくださいね」
顔や全身へのシャワーの当て方
「『直接顔に当ててOK』とうたっている専用モードを持つシャワーヘッドは除きますが、細やかなミストシャワーであっても、顔に直接シャワーを当てるのは水圧が刺激となるので避けましょう。手のひらにシャワーのお湯を溜め、チャプチャプとやさしくすすぐ『ため洗い』を心がけましょう。
全身への当て方は、シャワーの『水流モード』をうまく使えば、エステのようなほぐし効果が感じられますよ。特におすすめなのが、『脇の下』や『足の付け根・股関節周辺』などに当てることです。ジェットモードなどの少し強めの水流を心地よい範囲で当てることで、水圧による刺激が加わり、身体をほぐすような心地よさを感じられます」
汗・皮脂・頭皮ケアのポイント
「汗や皮脂による頭皮のベタつき、気になる臭いケアにも、シャワーの力を活かすことができます。最近のウルトラファインバブルなどの微細な泡を発生させるシャワーヘッドは、毛穴よりも小さな泡が毛穴の汚れに作用し、洗浄をサポートしてくれます。さらに、ファインバブルには疎水性相互作用によって油分などの汚れを吸着する性質があるため、皮脂などの油性汚れを落としやすくする製品もあります。
頭皮の汚れをすっきり落としたいときは、シャワーヘッドを直接頭皮にギュッと近づけ、お湯の対流を起こしながら洗うのがコツです。さらに、シャンプー前にお湯で十分に予洗いしておくことで、頭皮や髪の汚れをあらかじめ落とし、シャンプーも泡立ちやすくなります」
シャワータイムをもっと快適に。高機能シャワーヘッドという選択肢

シャワータイムを充実させるためには、高機能シャワーヘッドが欠かせないと話す小林先生。その人気の理由と先生の愛用品をお聞きしました。
高機能シャワーヘッドが人気を集める理由
「ひと昔前までのシャワーヘッドといえば、『節水のため』や『水の勢いを強めるため』に取り替えるものが主流でした。しかし現在の高機能シャワーヘッドは、毛穴の奥まで届く微細な泡や肌当たりのやさしさを追求し、まるで『お風呂で使う美顔器』へと進化を遂げています。
美顔器を買っても、毎回出したりしまったりが面倒で、タンスの肥やしになってしまいがちですよね。でも、シャワーヘッドなら毎日必ず浴びるもの。普段の生活ルーティンを変えることなく、いつものシャワータイムを、無理なくセルフケアの時間に変えられます。手軽にセルフケア効果を引き上げてくれることが、今多くの人から支持されている最大の理由でしょう」
これまで300種類以上ものシャワーヘッドを試し、「1回の入浴で5回シャワーヘッドをつけ替える女」としてテレビ番組で紹介されたこともある小林先生。現在愛用されているのは、「リファ」の高機能シャワーヘッド「リファファインバブル U+」だそうです。
「リファは長年シャワーヘッドの美容市場を牽引してきただけあって、美顔器のような機能が充実しています。毎日シャワーを浴びるだけでお肌をいたわりながら汚れが取れ、頭皮の臭いケアまで叶います。首筋にバブルがジュワジュワーっと当たる感触もとても心地いいです。美容面ではこの1本で全ての機能が網羅されているので、つけ替える必要がなくなりました」
さらに、小林先生が教えてくれた意外な愛用シーンが「お風呂掃除」です。
「トリートメントなどを流した後の床って、ベタベタ・ヌルヌルしやすいですよね。それをリファのポイントジェットモードでシューッと流すと、一瞬でお掃除が完了するんです。入浴後に時間をかけて掃除をすると、せっかくリラックスした状態から再び活動的になってしまうこともあるので、就寝前は、できるだけ手短に済ませるのがおすすめです。シャワーでササッと汚れを流して、リラックスしたままベッドに入れるのは、質のいい睡眠の点からも本当に助かっています」
自分に合ったシャワーヘッドはどう選ぶ? 購入前にチェックしたいポイント
高機能シャワーヘッドを選ぶ際に知っておきたい代表的な機能をお聞きしました。
- ウルトラファインバブル(ナノバブル)
「非常に微細な泡で、皮脂や汚れの洗浄をサポートすることを特徴とした製品があります。また、使用後の肌のうるおいについて検証されている製品もあります」
- 水流の切り替え(ミスト・ジェットなど)
「ふんわりと顔を包み込む『ミストモード』、頭皮やコリをピンポイントで刺激する『ジェットモード』、やさしく全身を流す『ストレートモード』など、部位や気分に合わせて水流をチェンジできます」
- 塩素除去・浄水機能
「カートリッジ等を通すことで水道水に含まれる残留塩素を低減し、デリケートな肌や傷みやすい髪への刺激を和らげてくれます」
これらの機能を踏まえつつ、さらに肌質や髪質、ライフスタイル別の選び方のポイントを教えてもらいました。
デリケートな肌の人や、小さなお子さまがいるご家庭の方
「肌当たりの柔らかい『ミストモード』があるものや、手元のボタンやレバーで水圧を自由に強めたり弱めたりすることができる調整機能付きのモデルが安心です。家族で使う場合、パパは『しっかりした水圧』、ママは『やさしいミスト』、お子さまは『柔らかい水流』と、家族で好みの水流が楽しめます」
頭皮のスッキリ感や全身のコリほぐし感を重視したい方
「水流が集中的に力強く噴射される『ジェット機能』を搭載したモデルや、水圧の調整にこだわったタイプがおすすめです」
肌や髪の乾燥ケアをしたい方
「保湿性について検証されているモデルや、残留塩素を低減する機能を備えたモデルを選ぶのも一つです」
初めて購入する人がチェックしたいポイント
高機能シャワーヘッドが初めてで「どれを選べばいいかわからない」という方は、1本でその日の気分や家族の好みに合わせられる「水流モードの豊富さ」と「切り替えやすさ」を基準に選ぶのがよさそうです。
「強い水圧で頭皮をスッキリさせたい日もあれば、やさしいミストで肌を包み込みたい日もありますよね。また、ご家族で使う場合もそれぞれの好みや年齢に合わせて水流を変えたいもの。代表的な水流モードが揃っていて、ボタンやレバーで簡単に切り替えられるものを選んでおけば、長く愛用できますよ」
先生のお話を伺っていると、すぐに高機能シャワーヘッドにつけ替えて、毎日のシャワータイムをアップデートしたくなります。 「一昔前までは節水や単に体を洗うためのものだった高機能シャワーヘッドですが、今や私たちの心と体を解きほぐし、明日の美と健康を育むパートナーへと進化しています。疲れが溜まった夜こそ、心地よいシャワーの感触に包まれながら、自分をやさしくいたわるひとときを過ごしてみてください」
編集部が厳選! 進化し続ける高機能シャワーヘッド5選
最後に、編集部おすすめの高機能シャワーヘッドを厳選して紹介します。
パナソニック ファインバブルシャワーヘッド「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50/全2色

提供:パナソニック オープン価格
https://panasonic.jp/showerhead/products/EH-SH50.html
シャンプー前の「予洗い」や美髪ケア効果に着目。髪と頭皮をすっきり美しく。
シャンプー前に髪をスムーズに濡らす「プレシャンプーモード」を搭載。お湯が全体に行き渡り、すばやい泡立ちをサポートしてくれます。「ヘアケアモード」では、微細なファインバブルを含んだ水流がトリートメントのなじみを促進。肌だけでなく毎日の髪のお手入れまで、丁寧にこだわりたい人におすすめです。
MTG ReFa FINE BUBBLE U+ /全8色

提供:リファ ホワイト、シルバー 35,000円(税込)ブラック、ピンク、ブルー、エムピンク、エムミントグリーン、エムパープル 38,000円(税込)
https://www.refa.net/item/refa_fine_bubble_u_plus/
進化した洗浄力で「洗う」をアップグレード。全身をすっきり整えるシャワータイムに。
毛穴の奥の汚れや落としきれなかった洗浄成分までやさしく洗い流す、高い洗浄力に着目したモデル。ふんわり肌を包み込むミストから、頭皮に心地よい刺激を届けるポイントジェットまで、4つの水流モードを手元で切り替えられます。新たに止水ボタンも搭載され、毎日の使い勝手がさらに高まりました。
ドクターエア クリスタルジュエル

提供:ドクターエア 29,700円(税込)
※塩素除去カートリッジ・ビタミンボールつきの「スペシャルエディション」(数量限定)29,700円(税込)も展開。
https://www.dr-air.com/jp/ja/products/crystal-jewel/
マッサージ機器の知見を生かした水圧刺激。夜や朝に気分をリセットしたいときにも。
ボディケアの専門ブランドならではの視点がつまった高機能モデル。リズミカルな水圧で首や肩を心地よく刺激する「ビートモード」は、心地よい肌あたりとしっかりとした水圧を両立。疲れた夜のリセットタイムや、朝のシャワーで気持ちを整えたいときにもぴったりです。
MYTREX HIHO FINE BUBBLE+e

提供:マイトレックス 36,850円 (税込)
https://mytrex.jp/hiho-fine-e/
微弱電流「マイクロカレント」×微細泡。毎日のシャワーで心地よく美肌ケア。
美容機器にも用いられる微弱電流「マイクロカレント」を、水力発電によって発生させる注目のシャワーヘッド。ナノバブルで毛穴汚れをしっかり洗浄できるのはもちろん、毎日のシャワータイムで肌を健やかに整えたい人におすすめです。
ウルトラファインバブル クレンジングシャワーヘッド

提供:アイリスオーヤマ オープン価格
https://www.irisohyama.co.jp/beauty-hairdressing/micola/shower-head/
新「ウォームベールモード」による新しい温浴体験。毎日のリラックスタイムに
温かさを感じやすい独自の水流設計による「ウォームベールモード」を搭載。ベール状の水流で全身を包むように流すことで、従来のシャワーモードと比べ温かさが全身に広がりやすく(当社調べ)、シャワー浴の心地よさを増幅してくれます。毎日のリラックスタイムのおともに最適です。
Profile

お風呂と眠りの専門家/小林麻利子
温泉入浴指導員、睡眠改善インストラクター、公認心理師。Sleep Research Labo睡眠科学研究所CRO。SleepLIVE株式会社代表取締役。睡眠と入浴を専門に、研究から商品開発、カウンセリング、空間コンサルティングまで幅広く手がける。自身の睡眠研究所では、ぐっすり眠るための入浴法をはじめ、入浴時の姿勢や温熱環境、寝具など、睡眠を取り巻くさまざまな環境について研究。その知見を、主宰するJCSP日本睡眠改善カウンセリングにも取り入れ、一人ひとりの生活や身体の状態に合わせた実践的な睡眠改善に活かしている。入浴・シャワー分野では、パナソニックと睡眠を目的とした入浴プログラム「おやすみビバス」を開発。これまで300種類以上のシャワーヘッドを自ら試し、商品の評価・監修のほか、シャワーヘッドのランキングや評価基準の策定にも携わる。 さらに、睡眠・入浴・健康の知見を「人」だけでなく「空間」にも展開。マンションやホテルなどを対象に、入浴、寝具、照明、温熱環境などの視点から、心地よく眠り、健やかに過ごすための空間コンサルティングを行っている。テレビ・雑誌などメディア出演も多数。睡眠や入浴に関する著書は7冊。研究で得た知見を、毎日の暮らしの中で無理なく実践できる方法に落とし込み、発信している。
Instagram:@marikokobayashi.sleep
取材・文=牧内夕子